日の記し ★ヾ(´・ω・`)ノ.: 。☆彡 ・☆

社会の底辺で生きてきて68歳になりました。後悔ばかりの人生でしたが、それもしかたがないことです。〈初期仏教〉を信じているので、なんとか暮らしています。訪問していただいて感謝しています。ありがとう。<m(__)m>

『文章作法 小説の書き方』

 おはようございます。

 昨日は午後から雨。今朝も曇り空です。また雨が降るようです。働いていた時はどのような日でも合羽を着て自転車で職場に行っていました。いまもそのような人がいるでしょう。ちゃんと働くことは立派です。

 お天気はしかたがない。

 まだ大工さんが来てくれないので、ブルーシートをかぶせていないアパートの屋根からの雨漏りが続きます。なんとか受けていますが……黴臭いです。

 

 

 

 

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 小説作法を勉強しようとして、最初に買った本です。

 作家が書いているので内容には納得したのだけれど……その通り、実践するのは難しい……わかってもその通りできない。

 小説とか何らかの文章を書くには、〈慣れ〉が必要でしょう。

 書くことが〈楽しいこと〉でなくちゃならない。習慣になるというか……プレッシャーを感じたりハードルが高かったりすると、それだけで気持ちが萎えてしまうのです。

 

文章作法 小説の書き方

文章作法 小説の書き方

 

目次は、

はじめに

(1)私の文章修行

  1戦前の勉強……投書のたのしみ 不況の事情

  2戦中の勉強……兵営生活のなかで 戦場での即興歌 再度の軍務・江南の地

  3戦後の勉強……詩から小説へ 「新表現」のころ 小説に開眼したとき

          「文芸日本」のころ 「近代説話」のころ

(2)文章作法について

  文章について

  文章の学び方 日記の効用 文章上達の要点 随筆について 童話について

  紀行文について 詩的散文について 散文詩について 小説の中の散文詩

  抒情詩について シュールレアリズムについて

(3)短編小説入門

  構成について

  見取り図について 導入部 地の文と会話 描写・叙述・説明 力点 結末

  完結させること 作品の検討 事実と虚構

(4)短編小説の分析研究

   成立事情

   ヒント ヒントよりストーリーへ 「丘の寺院」の分析研究 「丘の寺院」の解説

   「桃李の中」分析研究

  私小説について

  メモの集積と整理 執筆上の注意 実体験の強味 生きものの描き方

  「桃李の中」の解説

(5)小説の物語性

  純文学と大衆文学 発想と文体の研究 詩人による「可能性の文学」

(6)私と時代小説

  時代小説の分析研究

   「山小屋剣法」の解説 資料 制作上の工夫 構成について

(7)戦場小説と私

  なぜ戦記を書くか 語り部の資格 取材と作品化

  静かなノモンハン」の場合

   取材 鈴木上等兵の場合 小野寺衛生伍長の場合 鳥居少尉の場合

(8)成果をあげるための要点

  修正能力について 圧縮と省略 マンネリズムについて 戯作――ということ

  人事と事物 失敗作について 文体の密度について 抑制について

あとがき

 となっています。作家ならではの目配りです。 

 改めて読んで、こんなに盛りだくさんだったのだ、と驚いています。

 

伊藤桂一 - Wikipedia

 著者はこの本が出版された頃は、解散していた「講談社フェーマススクールズ文芸講座」の講師をした後に「読売文化センター小説講座」で教えていました。

「はじめに」にこう書かれています。

 私は八年の間、一回として、無駄を話したことはない。直接役に立つことだけを話した。(P14)

 自作を取り上げるのも、小説を書くということを具体的に語れるからです。

 この本は、私の小説勉強の過程を綴るものだが、小説勉強の点で参考になると思った場合は、つとめて懇切に、注意点を詳述しておきたいと思う。(P16)

 

  

           *            *

 

 (1)は当時のことを振り返ったエッセイになっています。具体的な描写で綴られているので、どういう事情で文学に関わっていったのか、よくわかる。

 印象に残った言葉。

 戦争や死についての批判などというものは、それらの危険を離れた安全な場にいる者だけの贅沢な思想だった。風土や環境の烈しさの中で息切れしている身にとっては、その風土や環境と、どのように調和し切るかだけが問題だった。ぼくは枯草のように、これ以上はどうにもならない究極の姿勢で、山肌に密着して生きることを念願するようになった。それ以外には、その土地で生きられないことがわかっていたし、またそれによってのみ、かすかな体温を知ることができる。(P16)

  何かを表現しようとする者は地に沿う形でしか発言できない、と思いました。

 

 このころ私は、前後満七年ほどの軍務の疲労と、敗戦による虚脱と、経済上の不安、文学的な孤独感その他で、すっかり弱り果てていたが、ふしぎに詩だけは書けた。私は六坪の市営住宅で、東京へも出られず、職の当てもなく、豊橋では勤め先もみつからず、詩でも書いているほかない状態で、よく、なぜ戦死してしまわなかったか、ということを、真剣に考えた。生きる気力を失っていたのだ。いわば、この時も「行き暮れて」いたのだが、拾ってくれる軍隊さえ消滅していた。私は絶望的に、ただ自分を追いつめるようにして、詩作に耽った。そうして「絶景」という一篇を書いた時、詩ばかり書いているとあぶないのではないか、と思えてきた。詩は上手になるかもしれないが、狂気の状態に陥ち込むかもしれない、という、きびしい予感を覚えた。(P43)

  こうして著者は小説に転向します。

 

  P48の〈小説に開眼したとき〉は教えられ考えさせられるエッセイです。ここでは「どう修正すればいいかわかった」ときの「母の上京」という作品の一部と「雲と植物の世界」一部が並べて掲載されています。

 事実をそのまま描写すること――

 

(2)は、文章作法です。

 著者は〈日記の効用〉と、〈文章上達の要点〉として――

1、つとめてわかりやすく

2、できるだけ短く

3、的確ないい方を選んで

       という三か条をいいます。

 これは、風景、風物、人の行動、できごとなどを、しっかりとみて、的確に表現することである。小説は、ある意味では、文章の力をかりて、映画のように、イメージ(映像)づくりをしてゆく芸術なので、カメラと似た、対象への把握が必要でもある。もっとも、小説の場合は、心理描写という特殊な方法もあるので、その点では有利であるけれども。(P77)

 著者の言うことはシンプルです。

 

● メモをとる。その中から役立つものを選び出して、小説に生かしてゆく。

 

(3)短編小説入門の〈構成について〉は実作するときのポイントになることを取り上げています。

● 見取り図(設計図)はどうするか。

  1. 始めに小説のヒント、テーマを書く。
  2. 簡単な粗筋、ストーリーを作る。会話も入れて、導入部から結末までをまとめる。

 

  • 導入部で全体がきまる。しっかりと見取り図ができているか、わかってしまう。
  • 地の文と会話とのバランスが難しい。
  • 登場人物の言動を頭でこしらえるのではなく、映しとってゆく。
  • 描写で会話を支える。
  • 説明だけで小説を書いてはいけない。
  • エンターテインメントの場合、映画を見る感じでイメージが展開してストーリーを進め、作品の意味やテーマ、人物関係が語られると、読みやすい。
  • 力点や、結末の効果などを図ることは、数学に似ている――

 

 

(4)は、自分の作品を例にして、(3)での注意点を書き加えたものです。これで小説の構成というものがよくわかるのです。作家ならではの、「ここは、こういうことに注意してこうした」ということが書かれているので、すごく勉強になります。「こういうふうに考えて描くのだな」とわかります。

 

(5)(6)も、実作を取り上げて、〈物語性とはなにか〉ということと、〈時代小説を書くときのヒントや工夫について解説しています。

(7)も、〈戦場小説をなぜ書くか〉をテーマに、作品を掲載して分析しています。

 

 初心者が知りたいことは(8)の〈成果をあげるための要点〉です。

● 修正能力について

   対象と自身との距離がとれていること。書くことに酔わないこと。

   修正能力がつくと、作品を読み直して欠点に気がつけば、すぐ修正できる。

   姿勢を高く構えると渋滞する。低く、静かに構え、力を込める。

● 圧縮と省略

 表現の曖昧な部分、平板に書かれている部分、実感の希薄な部分、類型的な字句の使用されている部分、対象が的確に把握されていない部分――を、除去する目的が「圧縮」という事である。いったん手を入れたものを、時間を置いてもう一度検討することがだいじである。(P310)

 

 文章は、よく手入れをすると、快いリズムを持ってくる。秩序のある文体で、説得力を増してくる。(P310)

 

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〈戯作――ということ〉に書かれている言葉は重いです。

 小説は目線を低く戯作者のつもりで書け、ということがあります。それと、「されど小説」なのである、と著者はいいます。

選ばれた人間しか小説は書けないのだ、という認識と自信を作者自身が持たなければ、どうして力作が生まれよう。小説勉強でいちばん大切なことは、自分で自分を鞭撻しつづけることだ、と私は話した。人はだれも助けてくれない。人は、あなたが挫折するのを待っているのだ、と。(P316)

 

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 一見、なんでもない常識的なことが書かれているようですが……作家が語る言葉は、深いです。

  

 

 

 

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     読んでいただいてありがとうございました。 

     誰もが穏やかで、幸せでありますように。