日の記し ★ヾ(´・ω・`)ノ.: 。☆彡 ・☆

社会の底辺で生きてきて68歳になりました。後悔ばかりの人生でしたが、それもしかたがないことです。〈初期仏教〉を信じているので、なんとか暮らしています。訪問していただいて感謝しています。ありがとう。<m(__)m>

小説『日御子』を読んだ感想です / 「小鳥」

 

 おはようございます。

 いま5時前ですが、大阪は雨が降っています。強い風が吹いています。まだ、空は暗いのですが、稲光が走って明るくなったりする。雨に濡れた駐車場のアスファルトが光っています。天気予報では9時には晴れマークになっているのですが。

  昨日のラジオでは「北の地方は春一番の風が吹くので注意して下さい」といっていました。大阪より、もっと強いのでしょう。

 

  

          *               * 

 

 

  先週、 ururundoさんに紹介してもらった小説を、図書館から借りてきて読むことが出来ました。 

日御子

日御子

 

 

 時代のロマンというものを感じました。作者は「大きな物語を書きたかったんだろうな」と思ったのです。

 人は生まれた時代に左右されます。そこで生きていかなくちゃならない。すべては人の力の及ばないところにある……そして歴史に選ばれた者の名前や規則は残ってゆく。そんな大きな物語です。その下で生きる人たちを描いています。

 ぼくらが考える国というしっかりしたものもできていない時代の話……まだ部族社会といってもいい。卑弥呼がいた時代の話です。

 

 純文学作品を読み慣れているせいか、最初は、〈物語中心の、ストーリーテラーな語りのほうに比重がかかり過ぎている〉と思ったのですが……「叙事詩的な世界を描いているのだ」と思い当たりました。

 そういう視点で読めば、時代を超えるものが浮かび上がってくるような気がします。人のあいだに伝わる法則のようなもの……

 

 

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 粗筋を書いてみます。

 

第一部 朝貢 

那国

 針(シン)の祖父、灰が語る。〈あずみ〉の一族の教え(一 人を裏切らない 二 恨まず戦わない 三 良い習慣は才能を超える)。那国の王が処刑されたいきさつ。金印を埋めたこと。伊那国に仕えるようになった事情。鉄や絹の布のこと。諸国の現状。使譯(シエキ 通訳)として漢の国への朝貢に同行したこと。生口を連れて行ったこと。馬車から落ちて脱臼した生口女の子の思い出。光武帝との会見。

伽耶山

  灰(カイ)の死。伽耶山に葬るための、父の圧(アツ)との旅。父は使譯として漢の国へ行くことになった。山頂での食事。

平原

  13年後……針(30歳)が父の代わりに使譯として漢の国へ行くことになっている。それが決まった時の王との会話。国力の差のこと。今度は生口を150人にするという。針には子供がいて妻は身重だ。5隻の船で平原へと出発する。水子たちの様子。仲間の田持や銅や背児との会話。港の風景。対馬に着く。

楽浪郡

 楽浪郡の港に着く。役人との会話。倭国との風習の違い。馬車に乗る。太守との会見。ここの文化は倭国に比べると遥かに高い。李玄(漢の役人)との交流。自分たちの国のことを思う。

洛陽 1

  使者12名と生口160名が黄河を下る。洛陽に着く前夜のこと。門を通って洛陽へ。李玄の歓待。安帝と謁見。祖父の時の生口の少女だった老女との出会い。

洛陽 2

  授かった金印の文字は〈漢伊都委国王〉と書かれていて、安心する。安帝からの回賜品のこと。楽浪郡で、先に帰っていた3隻の船は難破し沈んだと聞く。田持が持衰(ジサイ 船の人柱)役を務める。対馬を過ぎ、壱岐。伊那国に帰って来る。父は亡くなっていた。

弥摩大国ヤマタイコク)

  針は伊那国から派遣されて伽耶国にいた。戦いが繰り返され三韓ができた。伊那国に帰って来て、国王と鉄のことについて話す。娘(江女)が弥摩大国へ嫁ぐことになった。あずみ一族の掟の話をする。婚家の釜の家に着く。結婚式。王城に行く。国王に会う。朝貢のことを訊かれる。

伽耶山

 針の遺言。伊那国と那国の争いが起こったこと。

 

 

第二部 日の御子

日食

 死の間際の江女は孫娘の炎女にあずみ一族の掟の話をする。倭国大乱の時代。

誕生

 炎女は王女に仕えている。国王とのエピソード。日御子が産まれる。

起草

  馬韓に使いを出すことになる。炎女が紙に書を書くことになる。日御子は字を読めるようになっている。使者は出発する。

帰国

  炎女と日御子との会話。使者が帰国し王への報告する様子。〈炎女の書〉を読んだ馬韓王の様子。平和への願い。馬韓王は馬車の図面を送って来た。作らせ日御子が乗る。

祈り

 日御子は馬車に乗って王城の外に出るようになる。賢くなってゆく日御子。炎女との会話。戦っている周辺の国に和平の使者を出すことになる。使者への思い。書の内容。求奈国に遣わした使者は殺されて遺骸となって帰ってきた。日御子は祈る。日御子は王が亡くなった求奈国に弔問のために弟を送る。日御子の憑依の祈りは激しくなる。

日御子擁立

 日御子18歳。周辺の三国が和平を申し入れてきた。海と陸の道の整備。周辺国の道への四つの王道となる。炎女の弟、灯。その子の在のこと。日御子の祈りとお告げは続く。炎女は衰えに気づくようになった。在が来て、あずみの一族のことを語る。日御子が炎女を看取る。

求奈国

  20年経った。在、日御子に会う。求奈国の様子を語る。そして使者が殺された経緯を語る。

 

 

第三部 魏使

帯方郡

  在は銘に語る。日御子は漢が滅びて戦乱の時代に入ったと予言した。黄巾の乱のこと。魏、呉、蜀に分かれたこと。日御子は魏に送る生口の教育と使いを命じる。生口は単なる奴隷ではない。あずみの教えを伝える者である。そして出発の日がくる。伽耶国に着いて帯方郡の事情を教えてもらう。呉と公孫氏の因縁。公孫氏の滅亡。遼東半島を下る。山東半島に着いて見た魏の国のことを語る。魏の高官との会話。洛陽での日々。魏の使者が、帰国に同行することになる。

 洛陽での生口との別れ。帯方郡。末浦国。那国に着く。悌儁という使者との会話。国や風習の違いを知る。屈原の話。伊那国に着く。日御子に謁見。悌儁の挨拶。日御子も魏王に感謝する。

輪山

 その三年後、日御子はまた魏に朝貢する。その時の使譯に銘を推薦した。余命の残り少ないのを感じた私、在は、求奈国に嫁いだお前の妹、鋏女を訪ねようと思い立った。魏の使者の南勝舞は弥摩大国の重鎮になっていた。求奈国を見聞してくることに賛成だ。お前、銘は魏から帰ってきた。話で聞いた魏の衰退ぶりに驚いた。日御子さまが崩御されて、内紛が起きるのではないかと心配だ。鋏女の夫の録は三人の息子を使譯として育てようとしている。そして周辺国へ配下しようと思っている。これは弥摩大国に対抗する求奈国の生きる戦略といえるかもしれない。求奈国には鉄が豊富だ。原石を溶かす炉を見てきた。風の力を利用して火勢を高めている。求奈国の隣の高千穂国は山の幸が豊富だ。求奈国は東に進出しようとしている。弥摩大国に帰った私は、日御子さまの和平の気持を聞いた。が、南勝舞は反対し、東の国々に進出すべきだというのだ。「そのときまで、わたくしの命が許されているかどうか」これが、日御子さまの最後の言葉だった。

張政

 求奈国との紛争は続く。日御子さまは和平を願う。魏に仲裁を依頼するため南勝舞に同行して使譯することになる。帯方郡の太守に会う。援助を約束される。同時に求奈国のメンツも図る対処もする太守。張政という軍人のこと。日御子の死で巫女たちが殉死したこと。南勝舞が王になることで内戦になったこと。求奈国は動かなかった。魏が弥摩大国の背後にいるのを知っていたからだろう。争いで南勝舞は死ぬ。内乱に勝利した伊正義が、国王に日御子さまの宗女、壱与さまを擁立した。壱与さまは13歳。日御子さまの弟、照日子さまの孫。わたしの命も長くはない。針が漢の都に行ったのは灰の50年後だった。その時、生口のひとりが生きていて、新たな生口を迎えてくれたそうだ。わたしはその記録を読んで涙が出た。わたしは新たに選ばれた生口たちに、学んだすべてを教えるつもりだ。そしてお前の娘、沙女が新たに巫女になると聞いて嬉しい。

壱与

張政の帰国についていった銘が戻って来て、旅の様子を在に話す。諸葛亮という武将のこと。戦いの哲学のこと。混乱の中でなんの成果も得られなかった。上奏もなく、返書もなかった。回賜品もなかった。在は魏の行く末を知っておくためにも朝貢は続けたほうがいいという。大事なのは生口。倭の生口は重用される。在は炎女の教えを四つめとして守ってきたという。「休憩は仕事の転換にあり」

御塚

 銘は三年前に訪れた洛陽を思いだす。この時も魏帝への謁見は叶わなかった。が、魏に渡った生口たちと歓談することができた。正使である駅役は、それぞれの人生のことを聞く。また魏の事情も聞く。魏帝の暗殺のこと。その後の権力争いのこと。その時の使者、駅役の葬列が墓地に近づく。ここには日御子の塚もある。銘は在の葬儀の時のことを思う。いま、息子の治は二十歳を超えた。今度、魏に行くときは治を同行させようと思う。その後は治に任せよう。自分は双子の妹の鋏女に会うために求奈国を旅したい。

 翌年、銘は宮城に呼ばれ魏が滅び普となったことを知った。壱与さまに呼ばれて行くと、横に立った巫女のひとりが沙女だと気がつく。壱与さまは朝貢の準備のことを伊正義に訊く。生口は30人を考えているという。朝貢の品のこと。上奏文は銘に。今回も使譯は銘にやってもらう。息子の治を同行させる許しを得る。三日後、弥摩大国を出た。銘は船の上で伽耶山を見ながら治と話す。伽耶国で求奈国の使譯と会う。浴という名である。母は鋏女で父は録だった。竹簡を持っていた。そこは鋏女に会いに来てほしいということと、弥摩大国を急襲する求奈国の計画を知らせるものだった。弥摩大国の正使と銘と治の三人は、どうすればいいか相談する。治と浴はとりあえず弥摩大国に帰って、壱与さまに知らせる。その後に求奈国に行って不戦の進言をする。〈あずみの教え〉に命をかけるのだ。共に手を携えて東に向かおう、と進言する。二日後、二人は帰国の船に乗った。再び会えるのは来年の春過ぎになるだろう。治と浴は肩を組んで「二人で力を合わせます」と叫んでいる。こちらも正使、副使、銘が肩を組んだ。倭とは和なのだ。天は必ず見ていると思う。

  

 

           *               * 

 

 粗筋を読んだだけでわかると思うのですが、使譯一族の物語です。

 彼らは部族の王に仕えながら、〈不戦の誓いと努力を続ける〉一族の教えを守り続けてゆく。そういうロマンあふれる物語が展開されています。

 描写は平易で、旅する船や港のシーンが繰り返えされたりするのですが、その時代の風俗と歴史的な出来事が要所要所に出てきます。540ページもある長い小説ですが、日御子の時代以降は興味を持って読むことが出来ました。国の文化や技術の差や、習俗や慣習的なことも、乗り越えられるものとして描かれている気がします。

 この小説では、生口をたんなる奴隷とみなさず、文化を伝える者、また国同士を仲立ちする者ととらえているようです。

 そういう意味では、表層的にしか捉えられていない、いい人しか描かれていない、と指摘できるかもしれません。でも、純文学ではないので、これでいいのです。楽しめました。 

 邪馬台国の時代はわからないことも多いため、空想が膨らみます。争乱を予兆させながら、希望を失わないラストシーンが読後感の良さにつながっているようです。

 

 

 

 

 

………………     ………………     ………………     …………

 

 

 

   「小鳥」

   

朝の光のなか

イチョウ

枝を飛び交う

小鳥は

高い声で

さえずり

仲間を

呼んでいる

細い

枝は

揺れて

遊んでいるような

鳴き声は 

澄み切った

大気を

まっすぐ

貫いて

願いは

遠くまで

届くだろう

 

 

 

 

 

………………      ………………      ………………     

 

 

     読んでいただいて、ありがとうございました。

     誰もが穏やかで、幸せでありますように。