日の記し ★ヾ(´・ω・`)ノ.: 。☆彡 ・☆

底辺で生きてきて68歳になってしまいました。後悔することが多かった人生ですが、しかたがないです。自分なりの仏教を信じているのでなんとかやっています。訪問していただいて感謝しています。m(__)m

『北原白秋』(今野真二 岩波新書1649 2017・2刊) / 「月」

 

 おはようございます。

 今朝は寒いですね。風が強いです。四天王寺さんの西門に下がっているのれんが風にはためいてバタバタ音を立てていました。天気予報をみると、これから寒い日々が続くようです。

 白根山が噴火して……亡くなった方もいます。災害はいつ襲ってくるかわからないので怖い。ご冥福をお祈りします。

 

 

 ちょっと寂しくなったので……また月、水、金曜日に書くことにしました。

 でも、日記という形にします。気軽に呟きたいです。(^_^;) 

 詩は……できたときに載せることにします。必ず書こうとすると緊張してしまって気持に負担になるので……。

 

  

 

          *               * 

 

 

 

 図書館の棚で見たので借りてきました。九州へ行ったときに北原白秋記念館に入ったことがあります。だから「だいたい知っている」みたいな気持ちでいるのですが、細かいところまで知らないのです。知っていると思うのは傲慢です。本を読みます。

 

 

 

 本によると、北原白秋は同じモチーフで、詩や短歌を、童謡を書いたようです。

…… 白秋の作品は、お互いに深くつながり合っている。短歌、詩、童謡とジャンルは異なっていても、一つの「イメージ」の言語化であり、時には重なり合う「パーツ」を用いながら、詩が短歌になり、短歌が詩になり、あるいは詩が童謡になり、と多様な展開を見せることがある。(はじめにⅱ)

    それがサブタイトルに「言葉の魔術師」とつけた意味だそうです。

 

北原白秋――言葉の魔術師 (岩波新書)
 

目次

1章 油屋のTONKA  JOHN

2章 『邪宗門』前夜

3章 『邪宗門』――言葉のサラド

4章 『桐の花』のころ――君かへす朝の舗石さくさくと

5章 光を求めて――三浦三崎、小笠原への巡礼行

6章 葛飾での生活

7章 童謡の世界――雨が降ります。雨が降る。

8章 言葉の魔術師――詩集『海豹と雲』と歌集『白南風

9章 少国民詩集――この道を僕は行くのだ

 

「Tonka John」とは柳河語で〈大きい方の坊っちゃん〉という意味。弟の方は「Tinka John」という。

 

 

北原白秋 - Wikipedia

 

北原白秋記念館

 

北原白秋の作品は、ここで読めます。

青空文庫――作品リスト:北原 白秋

 

 

          *               * 

 

 

1章

  • 1911年に発表された『思い出』は白秋の〈故郷の回想〉なのですが、それは白秋の心のなかで再構成されたもの。
  • 邪宗門』の詩作品の製作時期と重なっている。同じようなイメージが繰り返し現れる。
  • 〈廃市〉のイメージを巡って……他の作家が言及、描いたものも、〈柳河〉に辿り着く。        

北原白秋 思ひ出 抒情小曲集(1911年刊)

 

 

2章

『文庫』に投稿した詩作品が、選者であった河井酔茗に評価され、破格の扱いを受けたことには注目しておきたい。『思いで』が上田敏に高く評価されたことはよく知られていると思われるが、白秋にはつねにそうした「評価者」がいた。(P27)

  北原白秋は1885年生まれですから、この投稿をしていた時代は中学時代だったのでしょう。 

 引用させてもらったのは、当時の才能は詩雑誌や短歌雑誌に投稿することで見出されることが多かったからです。

 

  ここまで読んできて、当時の文学史を理解することが必要だと思いました。

 

日本の近現代文学史 - Wikipedia

 

 近代文学年表

 

  日本の近代は、西欧から文化を輸入し、日本語に移植する産みの苦しみの時代でした。いろんな文体が模索されたのです。白秋の華麗な文体も口語自由詩を目指す詩人たちから批判されました。 

  ぼくらが白秋に馴染みがあるのは、難しい文語体ではなく、童謡の歌詞を通じてです。

 

 

3章

北原白秋 邪宗門(1909年刊)

明治15年に『新体詩抄』が刊行され、明治42(1909)年には白秋の『邪宗門』が刊行される。両者の刊行には28年の間隔がある。この28年間をみわたすことができる位置に立ってみれば、『新体詩抄』→島崎藤村の「浪漫詩」→薄田泣菫蒲原(かんばら)有明の「象徴詩」→北原白秋の『邪宗門』という象徴詩の枠としての「流れ」がみえてくる。(P49)

 

 

 この章には白秋の詩を「言葉のサラド」と表現した木下杢太郎の解説が載っています。

 また『思い出』についての室生犀星の言葉が引用されています。

 

白秋が何らかの「刺激」をきっかけにして詩をつくろうとする。その「刺激」は白秋が「心的辞書」に蓄積している語を呼びさまし、また「イメージ」を喚起する。その「イメージ」をとりまいている語は(増強されたり変化したりすることはあっても)変わらないと仮定してみよう。あるいはある語がある「イメージ」を呼びさますと考えてもよい。ある風景をみると、繰り返し思い浮かぶ語、イメージ、それが重なり合い、もつれ合うようにして、詩をかたちづくるのだとすれば、そうした「装置」に分けいらなければ、詩を「よむ」ことはできないことになる。(P73) 

 ここでは白秋の象徴の機能が分析されています。

 またP90では白秋の言葉を引用して、象徴とは「言葉で云ひ現はすことの出来ない」「複雑に入組んだ心持ち」という〈言葉で説明できない〉何か、と述べています。

 

 

4章 

『思い出』は大正14(1925)年に訂正版が出版されました。そこに白秋は文章を書いています。当時、出版記念パーティーを開いてくれたことの謝辞と、童謡を作るきっかけとなったことです。

 この『思い出』こそは今日の私の童謡の本源を成したものだと云ひ得る。尤もそれ以前に昔噺などを題材とした幼稚な小詩を書いたことはあるが、兎に角取りまとめて主として童謡味の勝った抒情の小曲を一冊子として公にしたのはこの集を初めとするのである。この中に収めた詩の多くが雅語脈の小曲であつて、必ずしも童謡としての童語の歌謡体ではないが、その幼時を追憶したものには、その歌調さへ翻せばそのままに童謡となるべき題材である。ここにさうした私の本質が潜んでゐるような気がするのである。(P80)

 それで白秋が童謡の歌詞を作ることになった理由がわかりました。

 

 

 

          *               * 

 

 白秋は、私生活では人妻と恋愛して姦通罪で告訴されたり、その後も離婚、結婚を繰り返すのですが、文学的には自分の表現を作り上げたようです。

 著者は、この章の「〈気配〉の人白秋」というトピックで、中野重治高野公彦の評論を引用して、「物と我との間にある気配であり、存在している物たちがかもし合っている匂い」が白秋の歌のモチーフといいます。

 

 

 5章、6章と引っ越ししたり結婚したりで生活が変わり、詩集も作品も生み出されますが、白秋とモチーフとの関係は変わらないようです。

 北原白秋 桐の花

 

 

 7章は、大正7年、鈴木三重吉が創刊した児童文学雑誌『赤い鳥』に参画して童謡を書き始めた経過を描いています。ぼくらが知っている童謡が多いです。

北原白秋の有名な童謡・唱歌

 

 

          *               * 

 

 8章、9章は白秋が日中戦争の時代にどう関わったかが描かれています。

北原白秋 海豹と雲

北原白秋 白南風

 

 昭和4年に発行された詩集『海豹と雲』の後記には……

日本古神道の精神を此の近代に新に再造するにある。わたくしはかの古事記、日本記、風土記祝詞等を渺遠にして漠漠たる風雲の上より呼び戻して、切に古代神の復活を言霊の力に祈り、之に近代の照明と整斉とを熱求しつつある。わたくしは日本民族の一人として、容易にかの泰西流行の思想に同ずることを潔しとせぬ(P192)

 

 あれだけ西洋趣味だったのは何だったのでしょう。反動でこうなってしまったのでしょうか。「白秋には思想がない」という批判を受けていたのを思い出しますが……あまりにも時代に同化し過ぎて無残な気がします。

 

……北原白秋はイメージの美学者であるでしょうし、それが彼の芸術を作っていました。それ以外にはない、のではないでしょうか。

 戦時中は文学者も日本文学報国会の翼賛体制に組織され、神国日本を表現しました。多くの文学者が戦争を美化したのですが……観念が優先されると芸術は滅びます。白秋が戦意高揚のための国民歌と軍隊歌をたくさん書いているのを、この本で知りました。

 

 

          *               * 

 

 やっぱり、白秋は……無思想でのんびりとあどけない、童謡のほうがいい、ように思います。

 

 

 

 

 

  ……     ……     ……     ……     ……     

 

 

 

   「月」

 

空に

丸い

巨大な月が

浮かんでいる

冷たい

大気のなかで

黄色に

輝やく

光は

違う世界から

やって来て

地上の

片隅を

柔らかく

照らす

雲もなく

暗く

深い

天には

わずかな

星が

またたいて

祈りの

言葉が

満ちている

 

 

 

 

 

………………     ………………     ………………     …………

 

 読んでいただいて、ありがとうございました。m(__)m 

 誰もが穏やかで、幸せでありますように。