日の記し   ★ヾ(´・ω・`)ノ.: 。・☆彡 ・☆

社会の底辺で生きて来て67歳になってしまいました。そこから見える風景や、読んだ本の感想や、ネット検索でわかったことなどを書きます。生きることは辛いこともありますが、何をしても生きて行ける。仏教を生きる支えにしているので、そのことも書きたいです。リンクを貼らせていただくサイトの方々に感謝します。

『独立国家のつくりかた』を読みました / 「夏の浜」

 おはようございます。

 大阪は3時過ぎから雨が降り始めました。台風5号の情報を見ると、4時には足摺岬の南にいました。今日は近畿を通過するのでしょう。昨日も関東の群馬県で突発的に雨が降っていたようですし、大雨に注意する必要がありそうです。天気予報は一日中、雨になっています。ご無事で過ごしてください。

 

  

 

          *               * 

 

 

 

  先週の土曜日に読んだ『TOKYO 0円ハウス 0円生活』に続いて、同じ著者のルポルタージュを読みます。

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

 

 

目次です。

まえがき

プロローグ ドブ川の冒険

1章 そこにはすでに無限のレイヤーがある

    1 路上生活者たちのレイヤーライフ

    2 家に車輪をつけてみる――モバイルハウス

    3 2011年3月11日

2章 プライベートとパブリックのあいだ

    1 土地は誰のものか?

    2 じわじわしみ出るパブリック

    32011年5月10日、新政府誕生

3章 態度を示せ、交易せよ

    1 新しい経済の在り方

    2 学校社会と放課後社会という二つの世界

    3 実録・僕の態度経済

4章 想像の方法論、あるいは人間機械論

    1 創造の定義

    2 自分を一個の機械と考える

    3 絶望眼の使いかた

終章 そして0円戦争へ

エピローグ 僕たちは一人ではない

 

 

坂口恭平 - Wikipedia

 

 著者は4章3で躁鬱病であることを告白しています。それは著者の個性だと思います。それがあるから深く考えることもできるし、常人と違う発想で行動することもできる。

 かって多くの芸術家は精神的な病を抱えていました。病があるからこそ芸術家として成功した、といっても言い過ぎではないかも。

〈3 絶望眼の使いかた〉は鬱の状態のときに、弱さを積極的なものに転化する試みを述べたものです。 

 

 

 この本は著者が〈独立国家〉を夢想し、じっさいに行動に移した記録です。

 それがぼくたちに多くのヒントを与えてくれます。

 社会を見る視点が変わる体験ができます。

 

 この本は2012年に発行されています。

 それからどうなったのでしょうか? 独立国家は2年後に解散して……いまは小説家になられたようです。

 

gendai.ismedia.jp

 

www.huffingtonpost.jp

 

 

 

           *               *

 

 

 

「まえがき(P6)」に著者が子どもの時から疑問に思っていることが箇条書きされています。

  • なぜ人間だけがお金がないと生きのびることができないのか。そして、それは本当なのか。
  • 毎日家賃を払っているが、なぜ大地にではなく、大家さんに払うのか。 車のバッテリーでほとんどの電化製品が動くのに、なぜ原発をつくるまで大量な電気が必要なのか。
  • 日本国が生存権を守っているとしたら路上生活者がゼロのはずだが、なぜこんなにも野宿者が多く、さらには小さな小屋を建てる権利さえ剥奪されているのか。               

 

  子供の頃からのこういう疑問が、著者の発想の基本となっているのです。

 

(ぼくも「金が無いと生きていけない」ことに、いつも強い違和感を持ちます。そのために資本主義の解説書を読んだり、新しい生き方が書かれた本を読んでいます。本を読んだからといって解答が得られるわけではないのですが……)

 

 

          *               * 

 

 

1章は、

 隅田川沿いにあったソーラーハウスの住民と話すことで、レイヤー(層)ということに気づきます。

 彼が見ているレイヤーは普通の人が見ているレイヤーとは違うので、誰にも気付かれないし、誰からも奪われない。同時にそこを他の人が使っても文句がない。彼はこれまでの所有の概念とはまったく違った空間の使い方を実践しているのだ。それは、このごろよく言われている「シェア(共有)」とも違うような気がする。しかも、彼はそのような空間認識を生活そのものにまで浸透させていた。まさに「レイヤーライフ(層生活)」である。人類学者レヴィ=ストロースが提唱した、あり合わせのものでやりくりするという意味の「ブリコラージュ」な所有とも言える。これは新しい家の在り方を考えるうえで、大きな手掛かりになるのではないかと直感した。(P25)

 

 そのレイヤーについて著者はP31の「思考が空間を生み出す」という項でこう書いています。

 それぞれの人が認識している浅草がそれぞれ違う。当たり前の話じゃないかと思うかもしれないけれど、人はなかなかこれを常日頃認識できない。路上生活というまったく別の生活圏の人間をフィールドワークすることによって、それが現前に現れた。それを僕はレイヤーと呼んだ。

 これまで、人間はこの一つの地球という空間の中で領土を拡げようと試みてきた。あらゆる戦争、いがみ合いの原因はここにある。日本という国の中でも、お金を獲得して自らの土地を増やす、所有を増やすという行為がすべての経済活動、生活のもとにあった。しかし、路上生活者たちは違った。

 ……(略

 それに対して、路上生活者たちの空間の捉え方は違った。もともと自分の土地というような私的所有を断念せざるをえない状況で生きているので、実際に買うことができない。そこで、彼らは自分たちのレイヤーをつくることにしたのだ。日本に住むみんなが当たり前と思いこんでしまっている「匿名化」した社会システムとは別のレイヤーを。

 路上生活者たちはマジシャンではない。ただ思考しているのである。建築では空間を生み出せないけど、思考では生み出すことができる。

 

 著者の思考法を導き出した発想なので、長く引用しました。

 現実にある経済システムのなかで何層にも重なったレイヤー(法律や規範も含む)の隙間をぬって新しいレイヤーを作り出す。

 それでたどり着いたのが動く家「モバイルハウス」です。

 

2章は、

〈土地が不動産として所有されるのはおかしい〉と考えた体験談を書いています。建物を作るときの基礎にコンクリートを使ったりするのは変だと思ったり、庭師の体験から都市の公園のことを考えたり、東日本大震災の体験から、新政府を立ち上げたりします。

 

3章は、

〈経済〉を考察しています。

 そうやって経済について考えていった結果、見えてきたのは、経済自体にもレイヤーが存在するということである。そして、今、僕達が信じこんでしまっている貨幣経済というのは、それらの経済の中の一つにすぎないということだ。資本主義経済も同じである。日本には資本主義経済も存在するが、路上生活者たちが「都市の幸」つまり僕たちが捨てたゴミを転用して実践している経済も存在している。

 僕は「新しい経済をつくる」ことこそが、これから生きのびるための技術となるのではないかと考えている。新政府をつくった理由もそれだ。

 そして、僕が導き出した新しい経済の在り方、それが「態度経済」と僕が呼んでいるものだ。

 すごく簡単に言えば、社会を変えよう、少しでもよくしようという態度を見せ続ける人間を、社会は飢え死にさせちゃまずいと考え、相互扶助を行い始める。僕がやっているのはこれだけだ。(P103)

 

 P105からは「態度経済のイメージ」という項が書かれています。

  • 生きること=態度経済。
  • 人間関係は友人のようで、誰もが快活で親切で、必要とされる。
  • 人には才能がある。

(……これでは抽象的です。これで大丈夫か、とツッコミを入れたくなりますが……)

 

 それは著者が体験したイメージから来ているのです。路上生活者たちとの交流と、彼らの生き方から学んだこと。

 P117~からは「学校社会と放課後社会という二つの世界」が書かれます。

  • 放課後社会のレイヤー(層)は無数にある。
  • 学校社会は変わらない。それは個人の領域ではない。
  • 個人で、レイヤー、認識を変化させることはできる。

 

 P132~からの「実録・僕の態度経済」はおもしろいです。著者の他人との交渉術、付き合い方がルポルタージュ風に書かれてあります。

 

 

4章は、

 概論です。著者の思考法の定義。

  • 「自分がやりたいこと」ではなく、自分がやらないと誰がやる、ということをやらないといけない。(P162)
  • すべての人の無意識が構築した匿名化したシステムに疑問を持つ。(P164)
  • 「生きる」とは、死ねない環境をつくること。(P168)
  • 断定して、表現する。(P170)
  • パトロンを持つ。お金を提供してくれる人だけではなく、自分一人では補うことのできない部分を、他者を自分の中に取り込むことで、一つの融合体をつくる。(P178)

 

終章は、新政府の構想です。

  • 福島の子どもを長期休み期間に一時避難させる0円スクールキャンプの継続。
  • 0円特区の拡大。公共の場として使うための土地。所有者不明の土地の活用。
  • 果樹、野草の栽培。
  • モバイルハウスを作るための0円ホームセンター。
  • 井戸。ソーラーパネル。菜種油。
  • 世界の〈独立国家〉との交流。

 

          *               * 

 

 以上、ざっとまとめてみました。

 発想がおもしろく、思考のヒントになります。

 また、その冒険的な生き方と、がむしゃらなところに惹かれました。

 

 

(ぼくは仏教徒なので、幸せは個人の心のなかにしか存在しない、と思っています。ぼく自身はすこし自閉的なので、世間を巻き込んで行くような生き方はできないのですが……それはそれぞれなので、それでいいのです)

 

 

 

 

 

  ……     ……     ……     ……     ……     

 

 

 

   「夏の浜」

 

白い砂の

浜辺に

風がない

小さな波は

珊瑚礁

浮かばせ

揺らめかせる

光は

細かい

ガラス

まぶしく

ひたすらに

暑い

ぼくは

これから

なにを

するのか

砂には

骨のような

貝が

埋もれていて

 

 

 

 

 

………………     ………………     ………………     …………

 

 読んでいただいて、ありがとうございました。m(_ _)m

 誰もが穏やかで、幸せでありますように。