日の記し   ★ヾ(´・ω・`)ノ.: 。・☆彡 ・☆

底辺で生きてきて67歳になりました。そこから見える風景や、読んだ本のまとめや、検索してわかったことなどを書きます。生きることは辛いですが、何をしても生きていけると思うのです。仏教を生きる支えにしているので、そのことも書きたいです。リンクを貼らせていただくサイトの方々に感謝しています。

『こころ動かす経済学』 / 「空」

 おはようございます。

 沖縄の梅雨は明け、北陸地方は梅雨に入りました。梅雨前線が北上しています。これから本格的に雨が降るようです。

 

  

 

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 この本のタイトルを見て読んでみようと思ったのです。経済学での心理学的な部分はどうなっているのだろうと思っていたからです。

 世界は資本主義に覆われているわけですが……みんなそれで満足しているのでしょうか? それが社会体制になっているので、従わなければ生きていけないのですけれど。

 

 金持ちはより金を手に入れ、貧しい者はずっと貧しいままの体制――そんな格差が固定された、競争にあくせくする社会よりも……穏やかな成長でいいからゆったり暮らせる社会を望みますが……

 

 

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 (はじめに) にこう書かれています。

――本書は、日本経済新聞朝刊「経済教室面」に「やさしい こころと経済学」と題して、第1部を2014年9月から同年12月に、さらに第2部として、2015年4月から同年6月にかけて連載したシリーズをまとめたものです――

  13人の学者がそれぞれの専門分野の視点から「こころ」を切り口に、現代社会が抱える問題を読み解くヒントを提示する(P4)――形で書かれています。

こころ動かす経済学

こころ動かす経済学

 

  

目次

1章 日本人は競争が嫌い?――精神性の特徴

2章 倫理観・価値観と絆

3章 男女の行動の違い

4章 差別と偏見のメカニズム

5章 希望の役割を科学する

6章 幸福とは何か

7章 幸福度を測るポイント

8章 「おもてなし」――心情をくむサービス

9章 日本の組織と心理的契約

10章 やる気を引き出す仕組み

11章 メンタルヘルスをどう守る

終章 経済学とこころはどう付き合ってきたか

 

 

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1章は、

 福沢諭吉の『福翁自伝』からエピソードを紹介しています。江戸末期、幕府のためにスコットランドのヒル・バートンの経済書を翻訳した時に「コンペティション」を「競争」と訳したと……それに幕府が不満を示したそうです。競争という言葉はキツイ……

 日本は文化的に〈同情〉という言葉が用いられてきた……

 アダム・スミスはその書で〈公平な観察者=良心〉という概念をいっている。そこから資本主義の体制で利益を得た者へも、不利益を被った者へも〈共感〉という概念で、見ることができる。

 日本は〈和〉を重視するあまり集団主義に陥りやすいのです。

 日本的な終身雇用制は効率的、合理的なものでなかった……

 

2章

 経済における〈効用〉について考えている章。

 現代の経済は厚生(幸福)主義で、いかに満足を得るか、を基本としている。それが効用という概念。

 サンデルは『これから〈正義〉の話をしよう』という本の中で、徳倫理の理論を展開した。

 積極的にボランティアをするほうが他人への利他性も増すし、充実感も覚える、という実験結果がある。

 

3章

〈リスク〉への考え方、対処の男と女の違い。

 女性はリスク回避の行動を取ることが多い。自己評価が低いということが原因と思われる。また、ジェンダーに縛られることがあるだろう。

 

4章

 経済学は〈選好行動〉を科学する学問。

 ゲーム理論で考察すると、市場の原理では差別や偏見は減少していくはずだが……現実はそうなっていない。なぜか?

 アローは「統計的差別」という概念を提起した。いままでの統計から判断すると、社会の基準にそうように行動するから差別が残る。

 

5章

 希望学とは――「大切な何かを行動によって実現しようとする気持ち」の、〈何か〉〈行動〉〈実現〉〈気持ち〉を考察する。

 この章ではアンケートの結果を分析しています。若い年齢のほうが将来に希望を持つ。知識や技能を身につければ希望を持ちやすい。人とのつながりが重要で、家庭において基本的な信頼関係があった人は希望を持ちやすい。

 

 

……6章から終章まではじっさいに書かれた論文を読んでいただければ、と思います。6章は幸福の内容について、7章は数値に表れた幸福度について、8章は日本的なサービス「おもてなし」について、9章は企業の組織論、10章はモチベーションについて、11章は仕事においてのメンタルヘルスです。終章はまとめ。

 それぞれのテーマについて書かれているので、概括的に知ることが出来ます。

 

 

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 読み終わって思ったのですが、ぼくが思っていた〈経済学は心理的なことをどう考えているのだろう〉という疑問は解決できなかったようです。

 じっさいに経済学の政策において「こうすれば幸せになれる」ということは言えないのだろう、と思いました。経済政策で人を幸福にすることはできないのだなあ、そう提起されていないと思ったのです。

 働き方や、何を選択するかや、希望や、幸福度を考察して経済政策に反映はするけれど、〈結果がどうなる〉については言及できないことなのでしょう。

 経済とはけっきょく、〈あなたが買う〉という行動しかわからない。

 つまり〈商品を買うことで満足し、幸福になり、充実した生活が送れますよ〉ということでないかと……ぶっちゃけていうとそういうことでないか。どこまでいっても、どんな商品を選ぶか、選ばせるか、でしかないのではないでしょうか。

 

 ぼくは、経済とは、〈誰かが得をすると、誰かが損をする〉ことでしかないと思うのです。

 誰かが儲けると、そこには犠牲になった誰かがいるのです。

 統計的なことをいってごまかしている世界にしかみえないのです……

 

 終章での「経済学とこころ」のまとめです。

 経済学のホモエコノミカス(経済人)像では重要な仮定が2つあります。1つは合理性、1つは行動主義です。合理性とは、人間の行動に関して、最低限成り立つだろうと考えられる矛盾のなさです。選択BよりもAが好きで、選択CよりもBが好きならば、選択CよりもAが好きなはずです。経済学ではこうした約束事をあらかじめ仮定しておきます。

 行動主義とは、人間の心の中身がわからなくても、観察される行動から人間の好みがわかるという考え方です。20世紀を代表する理論経済学者ポール・サミュエルソンは、そうした考えを推し進めました。合理的な消費者は、一定の予算の範囲内で選択しうる様々な商品の中から、自分が最も好む商品を購入することを通じて、自分の好みを反映できると考えました。

 この考え方の影響は大きいものでした。以来、経済学者は人間の心の中身を思い煩うことなく、合理的な行動だけに注目して分析すれば、事足りるようになったのです。(P212~213)

 

 

 経済学では次から次と新たな学説が現れます。

 オーストリア学派メンガーの均衡理論は、

 彼らは消費全体から得られる満足(総効用)と、新たに追加した消費から得られる満足(限界効用)を区別しました。真夏の運動後に飲む1杯目の水はおいしい。つまり限界効用が高い。しかしその感動は2杯目、3杯目となるにつれ下がります。これを限界効用逓減の法則といいます。(P215)

 

 ケインズ以後も新しい理論が登場します。ルーカスらが主張した合理的期待形成理論です。

 

 その後も新しい理論が提唱されます。

 米国の万能学者、ハーバート・サイモンは人間には認知能力と情報処理能力の双方に限界があることを限定合理性と名付けました。限定合理性の下では、人間は与えられた条件のなかで最適を求めるわけではありません。選択肢の探索と評価に時間をかけなければならないため、最適ではなくても満足できる選択肢の発見に努めるのです。サイモンはこれをヒューリスティクス(経験則)と呼びました。

 サイモンの考えを継承し、行動経済学と呼ばれる分野をつくり上げたのが、イスラエル出身の米国で活躍したエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンです。現実の意思決定と最適な意思決定との間には乖離が生じますが、そこにはバイアス(偏り)と呼ばれる法則性が存在します。(P221~222)

 

行動経済学とは何か? :行動経済学&社会心理学の研究

 

 

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 あえて行動経済学以外のリンクは貼りませんでした。

 経済学では理論も複雑化しています。

 

 ぼくが知りたかったのは、「みんなが幸福になるにはどうすればいいのか」だったのですが、それは簡単にいえるテーマではないようです。経済学の最終的な目標はそれを目指していると説明されますが。

 

 ぼくの「どうすれば幸福になれるのか」という疑問については、経済学以外で、ユートピア論を探すしかないのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

  ……     ……     ……     ……     ……     

 

   「空」

 

雨が止んで

日が射し

透明な羽が

空から

落ちてくる

遠くで

鳥が

列をなして

飛び

すべて

光と

薄い雲に

吸い込まれていく

いま

時間の果ての

崖に立ち

底を

見ている

 

 

  

 

 

………………     ………………     ………………     …………

 

 読んでいただいて、ありがとうございました。m(_ _)m

 誰もが穏やかで、幸せでありますように。

 よい週末をお過ごしください。

 また来週お会いします。