おはようございます。
夢を見ていました。眠りが浅かったのか、現実的な夢で、別れた女のひとと子どもに会っていた……みんな、優しかった。もう35年も経つのに。なんだろう、忘れられないものです。
今朝もラジオ体操でリラックスして、穏やかに生きたいです。
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『クレムリン・メソッド――世界を動かす11の原理』を読んでいきます。2014年末に書かれた本なので、あれから国際情勢も変っていますが、メソッドに基づいた分析は有効だと思います。
まえがきに〈いまの世界が不安定なのは、アメリカの覇権が弱まっているため〉という項目があります。
ブッシュ時代2001年、ITバルブが弾けた。9.11同時多発テロが起こった。アフガニスタンと戦争を始めた。2003年にはイラクとの戦争開始。「フセインが大量破壊兵器を保有している」ことが理由でしたが、これが後に大嘘だったことがバレてアメリカの権威は失墜した。
サブプライム問題から2008年にはリーマンショックが起きて、世界的大不況に突入します。
このあいだ中国は経済成長を続けました。アメリカの弱体化を確信した中国は凶暴化していきます。2010年、尖閣中国漁船衝突事件。中国は日本に制裁を課し、レアアース禁輸などで世界を驚かせます。
そして尖閣は中国領土で、日本に沖縄の領有権はないといい、将来的には日本を占領して自治区にすると公言します。
クレムリン・メソッドによる分析はこのようなもので、歴史を見れば、世界は〈覇権争奪〉の繰り返しだという、感情や思想を排した冷徹な事実の分析に基づいています。
P23に判断の格差はどのように起こるか、書かれています。
- 情報を流す人。洗脳する人。支配者。
- 情報を正確に理解できる人。
- 洗脳されっぱなしの人。一般大衆。
と、あります。
情報は操作されています。そのなかで、支配者、洗脳者の意図を読み取り、正しい情報を見極め、情報を理解できるようになろう、と呼びかけています。
- つまり〈あるがままに事実のみを見て、どういうふうになるか予測する〉というやり方です。ポジティブな見方や、ネガティブな見方に偏らない。あるがままに〈事実だけ〉を見る。
- 特定の〈主義、思想〉に偏らない。イデオロギーは現実を見失わせます。ただそこで起こっている事実だけが大事です。
- 真実は〈言葉〉ではなく、〈行動〉に現れる。どんなことを言っているか、でなく、事実はどうなったか、だけが真実です。
事実として、アメリカが撤退した地域、アメリカの影響力が低下した場所で、中国は過去に何をしたでしょうか?
1973年にアメリカがベトナムから撤退すると、翌年、ベトナムが実効支配していた西沙諸島の地域に侵攻し占領しました。
同じようにフィリピンでは、1992年にアメリカがスービック海軍基地、クラーク空軍基地から撤退したので、1995年に南沙諸島を占領しました。
日本でも尖閣諸島の領海を頻繁に侵犯して実効支配を目指しています。尖閣に上陸したら沖縄を狙うでしょう。日本を占領すると宣言している国だからです。
〈言っていること〉より〈やっていること〉が重要ですが、中国は脅しで言っているのでなく、心底からそうです。独裁国家なので国際的なルールが通用しないのでしかたありません。
世界はずっと戦争しています。それが現実です。日本だけ戦争に巻き込まれたくないというのは〈平和ボケ〉した妄想に近いです。戦争は誰でも、どんな国家でも、どんな民族でも嫌いですが、現実に、戦争は行われています。停戦交渉は行われますが、それでも殺し合いが続くのが人間の持っている現実です。
戦争に巻き込まれたくないという〈願望〉から状況を見るのでなく、どうすれば巻き込まれないかその方法を探すべきです。
軍事力を持って置くのは、戦争をするためではありません。
戦争をすればたいへんな被害を被ることになると、相手にわからせるためです。そうすれば戦争しなくて済みます。
現実には、軍事的に弱い国は侵略されてもなすすべがないのですから。
世界の歴史を見れば、なんらかの形で弱い国は過酷な運命を辿っています。
それで、昨日は、世界は暴力団が支配していると見たほうがいい、といいました。じっさい、軍事的な強さであれ、違う形の強さであれ、世界は〈強さ〉が支配する現実であると思います。
相手が暴力に訴えてくる場合、こちらは防衛する力を持たなければならないと思います。
話し合ってわかりあえるのがいちばんいいのですが。
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国際関係を見る上で、この本に書かれていることは納得できました。〈事実とその裏にある意図を見よ〉ということを教えられました。国際関係は国益のぶつかり合いでしかありません。
第①の原理
世界の大局を知るには、「主役」「ライバル」「準主役」の動きを見よ。
- 世界も国の集まり、集団です。いつの時代も「主役」がいて、「ライバル」がいて、「準主役」がいます。最重要なのは「主役」と「ライバル」の動きです。
- 国力を測る基準は「品格」ではなくて、経済力(金の力)と軍事力(腕力)です。
- 経済規模=GDPで世界は動いている。
- 金のある奴が力を持つ。
- 軍事力を持っている国が、軍事ブロックを作る。どこに所属するか。どう動かすか。
第②の原理
世界の歴史は「覇権争奪」の繰り返しである。
これは歴史を見れば明らかです。この本では16世紀のヨーロッパの覇権争いから書かれています。20世紀の2つの世界大戦を通じて覇権は資本主義のアメリカと共産主義のソ連に移ります。そして冷戦の時代、この2大陣営は代理戦争を繰り広げました。
いま中国がアメリカのライバルになったので、東アジアで代理戦争が起こる可能性が高いと書かれています。
第③の原理
国家にはライフサイクルがある。
- 国は成長して繁栄して、衰退してゆく。
- 覇権を持つ国は交代する。
- 移行期→成長期→成熟期→衰退期
- 独裁によって経済が成長することもある。
- 基本は経済の成長。日本のように国内で解決できないと、コストパフォマンスを求め低賃金の国に進出する。それによって国内の経済は空洞化する。
- 国の税収は伸びず、財政赤字を招き、衰退してゆく。
- 国家のライフサイクルの指標は、政治の安定と賃金水準。
- 成熟期には移民労働者の大量流入が起こる。ヨーロッパは衰退し、イスラム国家に取って代わられる。
- アメリカも衰退期に入っている。
- 若年労働者が増えるインドは成長する。
この本では各国の経済がもっと詳しく分析されています。
第④の原理
国益とは「金儲け」と「安全の確保」である。
- 国の経済がうまく行き豊かだと政治も安定し、国民も幸せに感じる。
- 経済成長こそが最重要。
- 国益とは〈利益を上げること=金儲け〉である。
- 国民の安全を守るために軍事がある。平和憲法があるから平和なのではない。自国を自分で守れない場合は大国に守ってもらうしかない。
第⑤の原理
「エネルギー」は「平和」より重要である。
- ④の原理のためにエネルギーの確保は大事。
- 戦前、日本は石油の輸入を止められたために、戦争せざるを得なかった。
- アメリカのイラク戦争は石油利権を守るために行われた。
- ウクライナ、グルジアの戦争は石油パイプラインを巡って行われている。
- アメリカはシェール革命によって中東(石油)に関心を持たなくなった。
第⑥の原理
「基軸通貨」を握るものが世界を制す。
- アメリカは貿易赤字国だが、ドルが基軸通貨であるから金利を操作することで、ドルを還流させることが出来る。同じようにアメリカ国債、株も買われる。
- 基軸通貨であることで貿易決済の需要があり、ドルの価値が下がらない。
- 中国は人民元をSDR入りさせ決済に使えるようにした。
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⑦~⑪のまとめは明日に回します。
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読んでいただいて、ありがとうございました。
誰もが穏やかで、幸せでありますように。