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  67歳、日の記し           ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て、55歳で世間との交渉を断って独りになりました。そこから見えることや思いを書く日記です。仏教を生きる指針にしているので、そのことも。リンクを貼らせていただくサイトの方に感謝しています。m(_ _)m

『グローバル・ベーシック・インカム入門』という本を読みました /

 

 おはようございます。

 今朝は寒いです。朝方が冷えるので寝袋にもぐっていると身体が堅くなってしまいます。ついも、ラジオ体操に行く前に自分なりの体操をしています。習慣になっているので、それをしないとスッキリしない気分です。

 

 

          *                 * 

 

  今週はずっと読書感想文を書いていますが、今年は本を読む年にしたい、と思っているんです。

 ぼくはこの三年、ブログを書いてきましたが、けっきょく自分がしたかったことは〈詩を書くこと〉と、人に伝えたいことは〈仏教的な考え方〉でした。人生の結論として仏教の考え方を選んだので、それが最高のものだと思っているからです。でも、それだけをブログで繰り返しているのは、読んでいただいている人にとっては単調に感じると思います。

 もっと違う問題意識も持ちたい。

 それで、興味を惹かれた本を読んでいこうと考えました。最近は本を読んでいませんでした。それで今年は本を読もうと決心しました。

 

 

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  世界のベーシック・インカムについてのレポートであるこの本を読みました。 

グローバル・ベーシック・インカム入門――世界を変える「ひとりだち」と「ささえあい」の仕組み

グローバル・ベーシック・インカム入門――世界を変える「ひとりだち」と「ささえあい」の仕組み

  • 作者: クラウディア・ハーマン,ディルク・ハーマン,ヘルベルト・ヤウフ,ヒルマ・シンドンドラ=モテ,ニコリ・ナットラス,イングリッド・ヴァン・ニーケルク,マイケル・サムソン,岡野内正
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2016/01/08
  • メディア: 単行本
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  サブタイトルに〈世界を変える「ひとりだち」と「ささえあい」の仕組み〉と書かれているように、ベーシック・インカムが自立と協働に役立っているという方向で書かれています。

  南西アフリカに位置するナミビアのある村で行われた2007年から2年間のBI 導入実験のレポートを内容にしています。

 目次はこうです。

 

はじめに――この本の成り立ちとねらい

1部 世界を変える! ナミビアベーシック・インカム

  1 導入の概要。経過。

  2 結果報告。評価。

  3 全国レベルの給付を目指して

2部 学生たちと訪ねたベーシック・インカムの現場

  1 (ナミビア)人の助けになることがしたくって

  2 (ブラジル)権力を取らずに世界を変える!

  3 (ナミビア)村人を先頭に、首都に向かってデモ行進

  4 (インド)みんな自分の意見を言うようになった

  5 (アラスカ)正義を実現するには経済的な力がいる

  6 (イラン)ああ、ヤーラーネ!(イラン語で無条件現金給付のことです)

 

  レポートの訳者である著者は法政大学社会学部教授で、2部はゼミの学生が書いた現地レポートです。

 

 

          *                 * 

 

 ぼくはノンフィクションものが好きで、旅行記などをよく読むのですが、この本を手に取った時に現地レポートが書かれているのが気に入りました。

 目次は上記の通りですが、「はじめに」にナミビアの報告書に目を留めた事情と、グローバル・ベーシック・インカムへの思いがまとめられています。それが最上の解説と説明となっていると思います。その「はじめに」を要約します。

 

 

 

 ベーシック・インカムとの出会い 

 ベーシック・インカムが論議されるようになったのは、ドイツのヴェルナーが提唱したからです。      

ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ

ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ

 

  批判もあります。

  • そんなに簡単じゃない
  • 法人税ゼロ、消費税だけでやっていけるのか
  • 保育、教育、保健医療、介護などのサービスをどうする
  • 傷病、育児、介護のリスクに、BI の自己責任で対応できるのか
  • いままでの社会保障を投げ捨てている 

 

 歴史的正義回復と新しい部族

  • 当時、パレスチナ問題についての論文を書いていたのだが……問題の根源は、いまイスラエルにいるユダヤ人が求めている、かって住んでいた東欧やソ連に残してきた財産返還に答えていないという構造から来ているのでないか。それがイスラエルパレスチナへの過剰な暴力反応を「防衛」という名目にしてしまっている。
  • 歴史的な正義の回復が必要だ。
  • ニュージーランドでもかってのイギリスの植民地支配で奪われたマオリ族の財産の返還や補償が行われている。

 全世界でやれば?

  • 財産返還のいろんな手続きや交渉は時間がかかる。
  • ベーシック・インカムでやればどうか。全世界な正義の回復となるだろう。

 もう始まっている!

  • オランダ、カナダに全人類規模のBI をやろうという提唱者がいる。
  • ナミビアとブラジルでは村レベルの実験が始まっている。これは団体が主体となって行っている。これらの国はBI を検討していながら、実行に踏み切れない。その政府を後押しするための実験らしい。
  • 公民権運動が盛り上がった1960年代のアメリカでは、キング牧師から新自由経済学者のフリードマンもBI を支持していた。

 旧植民地地域におけるベーシック・インカム導入のグローバルな意味

  • 途上国にとって、これは新しいBIという形の「援助」による「開発」になる。

 美しすぎる話?

  • ナミビア実験の評価報告書を翻訳した。貧困にあえぐ村で、定期的で確実な現金のバラマキは、村人にとっては、生存戦略をグレードアップする絶好のチャンスだった。

 インドでベーシック・インカム導入運動が高まる意義

  • BI は、賃労働に依存せざるを得ない階級を無くし、家父長制の弊害を無くし、国家への依存(国家主義ナショナリズム)を消滅させる。
  • インドの実験の成功報告会があった。自営労働者組合SEWA(街頭の物売り、内職、土木作業の日雇い、巻きタバコ用木の葉採集業などの仕事をしている女性だけの組合員で構成される)は急成長している。
  • 資金はユニセフを通じてイギリスが出した。歴史的正義の回復といえる。

 アラスカと先住民族の権利

 イランと補助金改革

  • 2010から国の資源からの収入を無条件に国民に分配し始めた国、モンゴルとイラン。モンゴルは収入が低下して廃止されてしまったが、イランは改革しながら継続している。

 この本のねらい

  • ナミビアの報告書を提供することで、個々人と村のコミュニティに対してもつ効果と影響力を知らせる。
  • 学生の訪問記を載せることで、ミクロな視点での現地の状況がわかるようにする。
  • 著者も書かれているように、このBI への見方は特異ですが、グローバルな世界観からみるとBIは国内の問題にとどまらないと思うのです。グローバルなベーシック・インカムを展開することによって、移民問題やテロや多国籍企業への規制など、現在の世界の矛盾を克服する道が開けるのでないか、ということです。

 

 これで著者の考え方がわかると思います。

 過去の植民地支配で、ヨーロッパの国々によって強奪され、支配され、虐殺被害に遭い、戦後もその傷を回復できず、多くの開発途上国は貧困や内戦、大国の世界支配のシステムに苦しんでいます。それを解決するためにベーシック・インカムを導入してみたらどうかという発想は、飛躍しているかもしれませんが……良い結果をもたらすならいいのではないでしょうか。

 

 

          *                 * 

 

 

 

 じっさいのことは、本を読んで下さい。1部の報告書も具体的だし、2部の訪問記もおもしろい。いままで知らなかったことを知り、目を開かされました。

 

 第1部の2の〈実験の結果報告〉の項目を上げておきます。

 実施前の貧困の実態/ベーシック・インカム給付への期待/変化を語る/オチベロ・オミタラの概観/コミュニティの動き/アルコール/犯罪/貧困水準/飢餓と栄養失調/健康状態/教育/経済活動、収入、支出

 これらの項目に対して、いずれも効果を上げたことが具体的にレポートされています。

 

 

  世界でBI といわれるものがこんなに導入されていたなんて知りませんでした。ヨーロッパで導入が議論されたり、国民投票で是非が問われていることは知っていましたが……

 

 もちろん、ベーシック・インカムという理想が、そのまま現実になって実現することなどありえないと思っています。でも、この本のような具体的な事実や成果を目の前に出されると納得してしまいます。体験したものほど真実に近いと思うのです。すべてがそうだと言い切れないにしても、世界で行われている少しのことでも知ることが出来た。そういう意味でいい本でした。 

 

 

 

 

 

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 読んでいただいて、ありがとうございました。

 誰もが、穏やかで平和でありますように。