おはようございます。
今朝から「冬型の気圧配置で寒くなる」って天気予報で言っていました。うん、すこし寒いようです。最高気温が10度ぐらいなんだとか……でも、これで平年並みということです。大阪で「寒い」といっていると、北海道の人に笑われますね。
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去年の年末に図書館から借りてきた本を読んでいるので、順番に感想を書いていきます。最初に読んだのは……
でした。
の生涯はここに書かれている通りですが、作家として活躍するようになったのは52歳(昭和31年)の頃からでした。そんなことを思うと、人生というのは長い雌伏の時間が必要なんだと思います。
木山捷平の文体の特徴は、その飄々とした庶民性です。戦争とか貧乏などの苦難に巻き込まれても、なんとか生きてゆく。そういう意味ではしぶとい。インテリを目指さないところがいい。
『木山さん、捷平さん』という評伝に載っていた、「思想なんてものがいちばん駄目でしたね」という木山捷平の言葉が忘れられません。
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本は8章に分かれていて、略年譜がついています。
第1章 木山捷平の経歴と作品――評論家諸氏の誤解を正す――
第2章 出石時代の木山捷平――丹波出石と処女作「出石」の世界を探る――
第3章 木山捷平の小説
第5章 木山捷平文学における教育観
第7章 木山捷平文学における「性」への意識
第8章 木山捷平文学における自虐性
1章は、流布されている【中学入学年の間違い。代用教員ではなかった。処女作は『出石』。友人関係を正確に。出奔の事情】などについての間違いを指摘されています。
2章は、出石時代の様子。
3章は、小説を分類しています。
【出石もの、田園もの、大陸もの、都会もの、旅行もの、歴史もの】に、
モチーフによって分けられる。
それと、文体の特徴をあげています。
● 飄逸性とユーモア。対象を冷静に見る。戯画化。自己の物体化。
● 劣等、不遇な人々に対する温かい眼差し。
● 酒。
● 直喩表現の秀逸さ。
4章は、小説に描かれている父親像の変遷。
5章は、〈公正、合理的な〉教育観の表現。行われている教育への批判的視点。
6章は、小説に描かれている反戦意識です。
7章は、性を崇高なものと見ていたこと。生きる基底に性があること。
8章は、小説で描かれている自虐性です。
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以上のテーマに沿って、小説から描写を引用して解説されています。当時の文壇での位置とか、作家論ではないことに、好感を持てました。作品に基づいた木山捷平像といえます。
ただ、作家によって描かれた自画像はたぶんに自虐的なフィクションでもあるので、8章で分析されている〈自虐性の分析〉が興味深いものでした。
「丁寧に木山捷平を読み、描いているな」と思ったのが、感想です。
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に収録されている「軽石」も読みました。
平明に淡々と、日常の目線で描いている 出来事。
語り口のうまさに、つい乗せられて、最後まで読んでしまう感じです。そういう意味で、落語に通じるものがありそうです。知らないあいだに話に引き込まれていたという……
なんでもないことを面白がる、そんな庶民の精神を感じました。
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読んでいただいて、ありがとうございました。
誰もが、穏やかで平和でありますように。