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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

『モンスター』(百田尚樹 幻冬舎 2010年刊)を読みました / 「部屋にいて」

 おはようございます。今朝も晴れ渡っています。天気が良いと気分もいいです。膝が痛いのがすこし気になりますが ^^;

 

モンスター

モンスター

 

を読みました。とても面白い小説でした。 醜く生まれて来たことでトラウマを抱えた女性の物語です。

 帯に書かれている宣伝は……

「町でいちばん美しい女は、かつてバケモノと呼ばれていた」

    ……醜い女が完全なる美を獲得した先にあるのは、誰もが羨む幸せか、それとも破滅か――。

 

 

 読みながら書いたメモです。

  • 15章に分かれていて、読みやすい。1章、が25ページぐらい。その章のテーマ、書かれた目的にそっているので、流れにすんなり乗れる
  • 整形で美女になった主人公の視点から小説が描かれている
  • 物語性がある。心理の流れとプロットがあっている
  • P94~心理学の先生の話が核だになっている。プロットを推し進める役を果たしている
  • P97~104 美人論
  • 整形することで自我が出せるようになった 居直れる
  • P141 蒙古襞 目頭切開法
  • P166 SMでの心理
  • P206 崎村がいう「あんたの人生の目的は金なんかじゃないな。多分……綺麗になることなんだな」
  • P242 顔の造作のバランス 美とは錯覚に基いている
  • P260 光背効果
  • P290 結婚という平凡な幸せにかけようとしたが……世間的にはさえない夫に浮気されてしまう
  • 同じソープで働いていたアケミも平凡な幸せに生きようとするが、殺されてしまう
  • 初恋を忘れられず、美化する人間の悲劇 純粋とは何か……
  • 人間の関係もミステリーの要素にあふれている 犯罪がある

 

 このように頭に浮かぶことを整理していました。

  この小説は美をめぐる心理学です。美に翻弄される男と女の物語です。醜く生まれて来たトラウマに囚えられ、超えることができなかった女の物語……

 世の中にはたくさんの規範があるけれど……容姿がいちばんわかりやすい、女性らしさとか男らしさも、その枠組に押し込まれたものです。でも、ほんとうにそれでいいのか、それを疑うことが必要だ、って気持にさせてくれる小説でした。

 

         *             *             *

 

【この商品を含むブログ】を見てみたんですが、そのなかで二つの意見に共感しました。(リンクさせていただいて感謝します)

2011-11-15 - 心配ないよ(ナイスミドル) by Charles

もしタレントみたいな顔立ちだったら……街を歩いていて、どんな風に見られるのだろうか。一度体験してみたいと思っていた。

 誰でも「もし……そうなら」ということを考える、それを体験できるのが小説のいいところなんだなと思います。

 

2010-07-24 - アリアン船はどこへ行く

美人とはブスとは、美人の心理・ブスの心理、美人やブスに対する男や社会の態度、整形、風俗、などについていろいろ調べて、構成して、で、できましたって感じ。

という感想に、ぼくも同感です。

 でも、心理が詳しく描写されているのがいいと思ったのです……それと、

崎村というやくざ以外の登場人物が薄っぺらい

という感想を持たれているんですが、たしかにご都合的に人物を登場させている感じはします……でも、エンターテイメントなので、そこは……(^_^;)

 

 ぼくは、整形をする者の心理とか、美醜に対する人々の対応、態度とか、捉え方を興味を持って読みました。現実に、芸能人には美容整形が必須うだろうし、風俗で働いている女の人もホストクラブの男の人も整形しているでしょう。それが売り上げにつながる。小説ではそのへんの事情がよくわかります。美しさは商品なんです。資本主義の社会では、すべてが商品化されますが……それが生の形で出てくる。

 

 

 Amazonのレビューを読んでみました。

モンスター : 百田 尚樹 : 本 : Amazon

 

 53のレビューが書かれているのですが、それぞれ深いところをついた批評だと思いました。

  • 美女に翻弄される男のあさましさ。
  • セックスしてしまえば(自分のものになれば)、飽きて、次の若いものに目移りする男というもの。
  • 男は美人に囚われる。「人間は中身だ」って言っておきながら、いとも簡単にひっくり返す。その滑稽さ。
  • 醜く自虐的だった人格が、整形で美しくなって自信を持つ。ひとつの狂気ともいえる。
  • 社会の一面を抉っている。
  • 男や女の本音が描かれている。それでリアリティがある。
  • 表面的なドラマでしかない。
  • 復讐劇としては安易な話になっている。
  • 美意識とは何か、考えさせられた。
  • 醜い過去の時代のエピソードと、絶世の美女になった現在とが交互に語られる構成の巧みさ。
  • テンボがいい。

 

……など、など。それぞれのレビューが興味深かったです。もっともっとレビューはあるのですが、みんな、思うことは同じだなあ、という気持になりました。

 外面と内面の齟齬は、永遠のテーマです。美醜も世間の規範で人を判断する基準になっていますし、それはゆるがないでしょう。そのことでおもしろい話が作れるというのは、小説家として一流だと思います。薄っぺらなストーリーだという人もいるけれど、ぼくはすごく面白く読んだし、考えさせられました。

 

 ぼくは、自分なりの仏教徒なので、美醜にこだわる「虚しさ」を感じながら読みました。美は虚飾です。仏教では自己中心的な愛は〈渇愛〉と呼ばれます。不毛な愛です。

 

 世にもてはやされている〈美人〉は、勝手な解釈から作られたイメージです。何かに利用されるために生み出されるのでしょう。それでも、ガチガチの社会規範の基準を離れて行くアナーキーな、自由さを感じます。そのことは、この小説でも〈個性的な美人〉を考察する部分で描かれています。

 男にとって〈美人〉は絶対的に自分を拘束するものではないのですが、それでも美しいものが自分の所有物になる喜びがある、ということでしょうか。男にとって、美しい女を所有することはプライドが満たされることなのです。もちろん女性も、それをわかっているに違いありません。

 

 この小説では美への彷徨が、一貫して主人公の女性の視点で語られているのですが、やはり男性作家が書いたものなので、男が持つ美化された女性像じゃないか……とか、女はこんなに純粋ではないだろうと思いました。男の〈愚かさ〉が透けて見える小説です。

 女性作家が〈整形美女〉を描けば、また違う視点で作り上げるでしょう。ここでの〈整形で美しくなること〉は、けっきょく〈男のため〉でしかないからです。主人公は自立した存在とみなされていない。そういう女性が抱くトラウマを描きたかったのかもしれません……

 

 この小説は面白いです。考えさせられます。エンターテイメントとして読者を惹きつける小説です。

 

  

 

      ……         ……          ……

 

   「部屋にいて」

 

手を伸ばせば冷蔵庫のドアが開けられます

いつもコタツに足を入れています

ギターがそばにあります(弾けないけれど)

ノートを広げます(でもなにも書けません)

いろんなことを忘れていきます

 

ジャズを聴いていると

自分も消えてしまいそうです 

 

 

 

………………     ………………     ………………     …………………

 

 読んでいただいて、ありがとうございました。

 誰もが穏やかで、平和でありますように。

 また16日に。