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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

『白石かずこ詩集』(現代詩文庫28 1969年)の「作品論」(高橋睦郎)を読む

 おはようございます。

 

 

白石かずこ詩集 (現代詩文庫 28)

白石かずこ詩集 (現代詩文庫 28)

 

 に高橋睦郎さんが書かれている〈作品論〉を読みたいと思います。タイトルは「かずこ詩試論」です。

 

 高橋睦郎ヘルマン・ホイベルス神父の聖女論を仮説として白石かずこに適用しようとします。それは、

「聖女には二とおりある。生まれながらの聖女と火焙りを通った聖女と。比喩的に言えば、かずこは本来、生まれながらの聖女である。しかし、彼女はなおかつ火焙りをとおって聖女となることを望んだ。したがって、彼女の詩と彼女じしんのドラマは、生まれながらの聖女が火焙りの聖女になろうとするドラマであると規定することができる」(P141)

 それを、白石かずこに当てはめてこういっています。

 聖人が俗性を脱して聖性に近づくように、詩人は日常性を脱して Poesie に近づく。そして、聖人の聖性への近づきかたが、俗性を知らずそのまま近づく方向と、一度俗性をかいくぐって近づく方向と、二種類あるように、詩人のPoesie へ近づきかたにも二つの方向がある。すなわち、日常性を通らずそのまま近づく方向と、日常性を通って近づく方向と。(P142)

 

 そして、最初の詩集『卵のふる街』から「卵のふる街」を分析します。

  • ここにはすでに、かずこの特質であるみごとに影や罪の匂いから遠い、あまりに光に充ちた無垢なイメージがあふれている。
  • しかし、その天界通信はその後、バッタリ途絶えることとなる。かずこが「結婚───出産───育児」という地上の生活を余儀なくされ、詩を書くことを中断したからである。

 

 そして『虎の遊戯』(1960年)という第二詩集が出る。

 終日

虎が出入りしていたので

この部屋は

荒れつづけ

こわれた手足 や椅子が

空にむかって

泣いていた

終日

虎 が出入りしなくなっても

こわれた手足 や椅子は

もとの位置を失って

ミルクや風のように

吠える

空をきしませて 吠えつづける

 (孫引きしてしまいました。すみません。全体を読むほうがわかりやすいと思ったのです)

 

  • これは天界から降りてきたところで書かれた詩だというのです。
  • つまり俗性を通過するしかなかったのだと………

 

 そして、これらの〈暗さ〉を逃れ、聖性を取り戻す新しい方法を探さねばならなかったというのです。

 それがジャズとの出会い、ジャズ的手法への転換なのです。

 ここでは1962年の「Hole 」という詩が引用されています。

あなたの眼と

わたしの眼とみあう時

わたしたちは最初に穴をみる

それは

あなたの穴であり

わたしの穴であり

わたしたちの生みだす穴であり

わたしたちのかつて知らない穴である

        (一連)

 

 

 

  • 高橋睦郎は、1963年の第三詩集『もうそれ以上おそくぃってきてはいけない』が最も重要な詩集だといいます。

 「罪が罪によって浄められる瞬間の明るさ」「この詩集においては、ひとつひとつの詩が、浄罪の儀式であり、過程なのである」といいます。

 前に引用した「 Now is the time 」 

«時は今»
吠えつづてて歌いつづけるオーストン氏の
黒いひたいから 時がいま いまと
こぼれるので
おしゃれな彼のピンクのシャツも全く濡れて
          ───略─── 

 

  • この絶え間ない加速度的な進行性によって、かずこは本来自分がそこに属していない地上を離れ、天上を跳ぶことができた………

 

 そして1965年の詩集『今晩は荒模様』では、前の詩集よりも長詩を書き方が技巧的になり、安定したにもかかわらず、それによる予定調和や円環により、天上性が失われたと批判しています。

 

 この作品論は1969年に書かれたものですから、この時点で書かれた………

白石かずこ詩集 №25: 知の木々舎:So-netブログの 「My Tokyo」

       (リンクさせていただいたサイトの方、ありがとうございます)

を引用して、再び、非調和へ、非円環へ踏み出したものとして評価しています。

 

 この作品論は、この後の白石かずこの活躍を予言したものといえる、と思うのです。

 

 

  ………………      ………………      ………………

 

 読んでいただいて、ありがとうございました。

 誰もが、穏やかで、平和でありますように。