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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

『近現代詩を学ぶ人のために』16章を読む

 おはようございます。

【第16章 高度消費社会と詩の現在】のまとめ

  最初に歴史的に今をどう捉えるか、といっている………この本は1998年に刊行されているのでその時の世相や流行、時代感覚を捉えようとしている。

 

(1 新人類の時代)

  • ソ連の崩壊、冷戦の終結、天安門事件、政治が大きく変わった時代。
  • 戦中派、焼け跡闇市派、戦無派、安保世代、全共闘世代………そして新人類と呼ばれる世代への移行。
  • TV、コミック、ゲーム、コンピュータの視覚、電脳文化。バーチャルな世界から現実を見つめる眼差し。

 

(2 現代詩の1980~90年代)

 この節をぼくなりにまとめてみました。

  • 現代詩もこの新人類の読者層によって変容を余儀なくされてきた。
  • 活字離れで小説が読まれなくなり、現代詩からも読者が離れていった。
  • 「現代詩の難解さ」が根拠にしてきた政治的な前衛が後退していった。同時に「詩と思想」というテーマが成り立たなくなった。すでに『荒地』の世代は老齢化して詩の代表ではなくなった。
  • 同時代の文化風俗にシンクロした新しい詩の流れが出てきた。それが吉本が指摘した「修辞的な現在」の詩。荒川洋治に代表される知の衣装をまとった詩。
  • 詩といえば銀色夏生や流行の歌詞であり、メディアのなかに存在するものになった。
  • また、現代詩のほうからサブカルチャーに接近していくこともあった。

 

銀色夏生 公式ホームページ

 

 北川透は「詩的90年代の行方」(『現代詩手帖』1990年1月)で80年代の現代詩を振り返って、その特徴を、要約してみせた。

  1. 女性詩の出現
  2. ポップ詩の流行
  3. 戦後詩人の沈黙と死
  4. ポスト・モダンの潮流
  5. ポエム派の台頭

 

 つまり活字がいかに高度消費社会の需要に耐えていけるかという回答でもあった。

 詩の大衆化である。

 

 ここでそのテクストとして、ねじめ正一の詩集『下駄履き寸劇』から「生協タマゴ」が引用されている。

今夜は奥さんふん発の串カツたいらげ

早くもテーブル片づけ

奥さん

ストリップしてください

浅草駒太夫の引退には涙が出たなあと鼻水すすって

タンスの奥から

奥さんの長襦袢をひっばりだし

襟首をつかまえ

テーブルの花道は待っていますよと着せかえさせようとするのですが

そんなことするんなら死んだ方がましよと言う

奥さんの嫌がる顔をいきなり殴り倒し

蹴り倒し

はり切ってまいりましょうと奥さんの丸裸を抱えながら長襦袢を着せ

………         (略) 

 

  • 性行為や暴力を、劇画チックなパロデイにしてしまう。
  • パフォーマンスや風俗に依存した言語消費的なスタイルなので、急速に風化してしまった。

 

(3 技術の復権────荒川洋治の位置)

 最初の詩集『娼婦論』、それに続く『水駅』は70年代を代表する。

 

かかわる浅瀬をやさしく登記詩、抱擁をひらがなにして、あなたは帯をしめなおす。たしかめられる手ざわりの速さ。わたしはひとたびの内面と多彩な虻をしめだし、木霊を敢えてきき洩らす。省かれて白むことばの黎明をついて、わたしの遺志は除草のように、身重の納涼を済ます。まばらにたちすくむ骨はあなたの乳房の蒼い浮上にまみれて入念にやせこけたふたりの分母をはらう。

      (「雅語心中」『娼婦論』より)

 

  • 喩のめざましい効果によって意味的な像が結ぶことを撹乱する。
  • 抒情詩────モダニズム詩の古典的な現代詩の手法に則っているわけだが、統語上においては意味の連なり(つまり気韻とからしさ、あるいはこの詩の場合ではエロス)はきちんと保たれており、その点は従来のシュルレアリスム系統の現代詩と大きく異なるのである。
  • 荒川は「現実との相克を欠いた技術主義」との批判を受けることもあった。
  • 論争の相手は、稲川方人平出隆である。
  • 荒川は、入沢康夫や岩成達也のように、技術を理論化することなく、実践で示した。
  • 『討議戦後詩────詩のルネッサンスへ』(1997)のなかで野村は荒川洋治の修辞は「すでに表象されてあることの言いかえ、あるいはずらし」と批判している。
  • 荒川は先行世代あ「IQ高官」と呼び、新しい世代には、高みから飛び降りることを期待した。
  • 『ヒロイン』では際立った喩も消え、平明で通俗的なポップ詩になっていく。

 

(4 女性詩の時代)

 取り上げられているのは井坂洋子である。

朝の校庭に

幾筋か

濃紺の川を流す要領で

生白い手足は引き

貧血の唇は閉じたまま

 

安田さん まだきてない

中橋さんも

          「朝礼」部分

 

 

  • 女性の感性がもてはやされた。
  • それはメディアが作ったものでもあった。
  • 井坂洋子伊藤比呂美、白石公子………現代詩において、読者の担い手が女性になっていく。

 

       ………………     ………………       ………………

 

 これでこの本の最終章まで読むことが出来ました。

 近代から現代詩までの流れが頭に入りました。それぞれの詩論については、また詳しく書かれた本を読んでいただくとして………詩が、どういう方法論で書かれてきたかが理解できた気がします。

 この本には「年表で読む日本の詩史」が付けられています。それは概括的に流れを見るのに便利なものだと思います。

 

       ………………     ………………       ………………

 

 次回からは、気になった詩人の、「こんな表現に共感した、心を動かされた」ということを書いていきたいと思っています。

 勉強するばかりでなく、自分の詩も書いて行きたいので、時々の更新にしたいと思っています。

 また、お会いできればうれしいです。

 

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 読んでいただいて、ありがとうございました。