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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

「わたしはあんじゅひめ子である」を読んで

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 おはようございます。

「わたしはあんじゅひめ子である」を読んだのですが………

 本当のことをいうと、どういうことを書こうかと悩みました、いまも悩んでいます。 

 読んでもらって満足していただけるような文章が書けないだろうと思うのです。

………しかたないです。どうすれば詩が書けるのか、と考える初心者が書いているわけだし、ちゃんとした批評とか分析とかはできないので………知識もないし………でも、自分なりに、こう書けばいいのじゃないかと思うことを書きます………よろしくお願いします。

 

       ………………     ………………       ………………

 

 構成のことを書こうと思います。

 

 散文詩は、普通の文章と同じように構成が大事だと思うのです。散文詩は詩の要素を除けば散文と同じと思うのです。

 構成によって、その描かれた世界の厚み、重層感が違ってくると思うのです。

 

「わたしはあんじゅひめ子である」にはサブタイトルがつけられて、4部に分かれています。〈わらう身体────蘇生────移動する子────わたしはあんじゅひめ子である〉

 このプロットで構成されています。サブタイトルを見ただけで、何が起こるのだろうと想像させます。

 

【わらう身体】

  1. 父が殺しにかかってくる………
  2. 自分の子じゃない────口が耳まで裂けいてる、一重、扁平顔、黒子と痣だらけ、耳が大きい、どこのあんじゅ坊の子か────砂の中に埋けよう。
  3. 母は従うままだった。
  4. 川のそばの砂地。埋けられた子の様子。草や木を食べ、川に棲み………

(母の語り)

  1. 3年で3人の子を産みながら………下の子は夫に埋けられた。泣き暮らし………目が潰れた。夫がいう、死ぬか出るかしろ。
  2. 家を出てわたしも自分を埋ける。自分の子はどこにいるのかわからない………子を埋けたとき、耳に葭を差した………
  3. 夫は来るか………子に責められて………その思い。
  4. なにもできない………雀追いでもせよと人がいうので、砂を出た。
  5. ………ある主人に訴えて、雇われる。雀追いの様子。

 

  1. 3年経って………父が、砂を掘り下げる。葭から露をなめて生きている身体。
  2. 3年埋けて死なないとは………島流しにしてしまおうと………板舟に乗せられ………
  3. 板舟や、帰れ、と念じたら、そのまま家の中に入って父を潰す。潰されながら父は、もしやあんじゅひめ子がいるかと探るが、
  4. わたしはとっくに陸に上がって………森の奥に。男が太鼓三味線を響かせてお神楽をあげていた。どうしたと訊くのでわけを話すと、養ってやるという。
  5. 雇われて最初はよかったが、粟をつけ、米をつけと責められる。逆さにつるされ火であぶられる。小石をぶちまけられ、拾えと責められる。土を掘って運んでこい────男は無理をいう。
  6. 穴の空いた目籠を渡され、水を汲めといわれる。川まで行くが、これでは水は汲めない。川の童子さまに願かけてみれば………油売りがやってきて
  7. 油紙をもらって、塞いで、水は汲めた。
  8. 男は今度は、指で葭を切ってこいという。泣いていると、黒い衣を着た男が現れ、刃物を取り出し葭を切ってくれた。
  9. 男は、なめろ、口に含めという。身体に入れろと責められる。火であぶられることが怖くて、入れたが………内蔵が飛び出した。それを戻すのに苦労した。
  10. 男は今度は、釜を焚き、素足で渡れ、という。泣いていると、そこへつばめが飛んできて、男がよそを向いているうちに逃げろという。
  11. 野中の一軒家に辿りついた。わけを話すが………断られる。
  12. 戻ってこいと声をかけられ、袋に入って梁からぶら下がれといわれた。袋ごとわたしを持ち上げる力の強いこと。そこに追ってきた男が現れる。
  13. 袋を下ろして見せろと責める………が、かくまってくれた男がたらいに水を汲んで突き出すと、男は鬼の顔をしていた。ざんげ、ざんげ、とうちはやされて、男はいなくなった。

 

【移動する子】

  1. 黒染衣、藍の脚絆、足袋姿の母を訪ねて旅するわたしである。
  2. わたしは7つ、4月の春、深い山に分け入って………笹小屋を見つけるが、その手前に大きな川がある。渡れない。川の童子様に願ったら、枯れ木が倒れ橋になった。
  3. 笹小屋を訪ねてみれば若い目の不自由なねえさんが………わけを聞くと………(母の語り)目が不自由になった理由………わたしがあんじゅひめ子であります………母は痣を調べ、驚く。
  4. 親子であることがわかったのに、目が見えないことがくやしい。思わず涙をこぼすと、母の右の目をなでろーという声が聞える。母の目に手をやってぐりぐりとすれば………目は開いた。親子は泣いたり、笑ったり。
  5. 十日たって、父を訪ねたいから暇を下さいという。
  6. 反対される。お前を埋けた父に会いに行くなど馬鹿なこと。
  7. それでも、父があってのものだね。苦難も受けたし火にもあぶられた………鬼であった父も、かくまってくれた父も、葭を切ってくれた父も、油紙をくれた父も、父であったように思うが………
  8. 砂に埋けた、海に流した………火であぶって責めた、無理難題を強いられた………性器で突き通された………鬼の顔をした父であったのに、なぜか、可愛がられいとおしがられてそうされた気がしてならない………
  9. 母との別れ………小指を切って置いていく。これをなめれば腹も空かない。
  10. 旅の途中、いろんな父に会った。いろんな父………

 

【わたしはあんじゅひめ子である】

  1. わたしは性的な虐待を父にうけて育ってきたあんじゅひめ子である。殺されかけ………捨てられた身の………逃げようとするが、父は様々な姿に変わり、わたしを殺しにかかる………
  2. わたしは死んだあんじゅひめ子である。生き返らせててんのじに行かねばならないと思った。それには、あの子に聞くのがいい。あの子に会えばわかる………
  3. ある日、あの子が言葉をよこした。

(あの子の語り)

  1. おれもおまえのことを、なぜか、考えていた。てんのじに行くことができたらどれだけいいか………だが、お前は病んでいる、おれもお前に劣らず病んでいる。おれはおまえと暮らしていた。おまえはまだ、小さな小さな子どもだった。おれたちは大人の知らないところに隠れて………おれたち、赤ん坊のような幼児が………いろんなこと………無ということに気がついて………おまえに伝えた。
  2. おまえの話す言葉はいかにも舌足らずで………小さな小さな子どもだった………いま、おまえの声はとても可愛く聞える。

 

  1. さあ、もう、なすすべがないと途方にくれていたら、山姥がやってきた。山におぶって連れて行ってくれというのである。性交したいというのである。今までさんざん、人を食い散らかしておいてというと、なに、おまえはちゃんと生き返ってきたではないか、へそなり陰核なり残せば、生き返るおまえだ。
  2. 最後の頼みなんていうが、どうかわかったものじゃない。わたしをみじんに噛み砕き、うんこにしてひり出すに違いないのである。
  3. 山姥はいう。そうしておまえは生き返るのだ。性交したい、おまえもおれの年にればわかる。
  4. それで山姥をおぶって山に入っていった。山姥は背中であらゆる悪さをする。放り出すよ、というと、どうか、どうか、情けをかけてくれと泣く。乳房はしなびて、小さくしなびていた。
  5. 山姥は山で大きな陰茎と再会して性交をした。どんな声を出すか、どうなるか、見ておけよ、おまえの役目であるからという。そして腰をふるとわけのわからぬものを産んだ。
  6. ひる子である。背中におぶうと、てんのじはあっちだ、という声がした。振り返ると、山姥は性交に夢中で、ひる子を次々と産んでいる。
  7. てんのじには何をしに行くのだとひる子は訊く。わたしはあんじゅひめ子であるという。父に性的に虐待され続けてきたあんじゅひめ子である。その言葉はひる子とわたしの理解の表面をすべっていくような、吸い込まれていくような………わたしはひる子が言葉を持たないことを知った。
  8. 言葉を持たないひる子が、あっちといい、何しに行くかときいたのも、たしかである。それからいろんなことをわたしに尋ねた。わたしが返す言葉は、伝えようとする意思の表面をつるつるすべるか、吸い込まれるかである。でも、わたしには言葉しかない。言葉を返して返していくうちに、ひる子の欲望がだんだんおさまってきた。

 

        ………………     ………………       ………………

 

 以上が、ぼくがまとめたプロット、構成です。

 

 独特の世界────たしかに説経節をベースにしたということが感じられます。〈語り〉の世界だな、と感じるのです。

 説経節のように、民衆の辛苦の歴史が投影されている………説話的なんだろうと。

 

 これは………

 

「民話研究のあらまし」のような方法によって分析されるべきかもしれません。

 

  また、ウラジーミル・プロップが説いた〈構造分析〉の方法で解説されるべきなのだろうと思います。

 

  でも、分析より、なにより、その語り口の魅力に惹かれました。つまり、独特の世界の毒気にあてられたと思うのです。こういう世界は、説経節としてあったとしても、詩の世界ではなかったからです。

 この、〈あんじゅひめ子の世界〉は 胸の奥に響いてくるものがあります。思想的、時代的には、男性原理による母性の分裂というフェミニズム的主張に依拠して描かれていると思いますが………そういうことを抜きにしても物語として迫ってくるものがありました。

 説経節という民衆の口承文芸を、詩に、持ち込んだ、ということが新鮮なのです。

 

 前例をいえば、T・S・エリオットも「荒地」で、歴史上の文献から引用したり、インスピレーションを受けて作品を作り上げたし、違った分野のものとコラボレーションすることは前衛的な試みだと思います。

 

 それに、語りのリズムと、構成の巧みさを感じます。文脈的に無理があるような飛躍が自然に行われている。主語が変わるところとか、客観的に自分を描写するところとか………たぶん、〈語り〉の文体だからでしょう。ここでは、自由に、〈語り〉としての〈詩〉が許されているのでしょう。

 

 特徴としては、イメージの豊穣さです。

 民衆の仏教説話的イメージに固定されているとはいえ、独特の世界を作っています。民衆が望む「あんじゅ姫」の世界、なのです。

 詩としては、それに寄り掛かっているともいえますが、庶民の希みや願い、幻想は大事だと思うのです。それを反映しているのです。

 

 散文詩にはそれなりの描き方があるのでしょうけれど………この詩はそれを超えた世界を作っていると思いました。

 詩にとって大事なのは、どんなイメージを提出できるかということ、だと思うのです。

 

       ………………     ………………       ………………

 

 

  うまくまとめられませんでしたが、また、続けて、他の作品を読みたいと思います。

 

…………………………………………………………………………………………………………………………………

 

 読んでいただいて、ありがとうございました。

 また、明日。