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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

「抵抗と表現」を読む 6

 おはようございます。

 

倉橋顕吉────おくれてきたプロレタリア詩人

  • 1917(大正6)~1947年6月没
  • 京都府立第二中を卒業して、最初は1934年に京都中央郵便局、翌年、京都瓦斯で働く。
  • 詩誌『車輪』………37年に同人たちが治安維持法で検挙される。
  • 検挙前(18歳~)プロレタリア詩を書いている。考えれば、底に行くしかなかった。プロレタリア詩の後退期だった。
  • 検挙37年3月~38年12月。「将軍」が主義的とみなされた。20歳。
  • 40年~42年に活発に詩を書く。政治主義を離れたリアリズム。「みぞれふる」(『詩原』40年3月号)

おもたいものが空を掩ひ

つめたいものが宙をみたし

心ぬくもるまさざしなど

ああ 何処にもない

 

男も

女も

家に籠ってしまった

      (一連、二連)

  三連は家のなかの描写。四連は、「よりそふ人々の頭上に/ふとも/はげしい天来の声がある」五連、「佇む家々の屋根を叩き/流浪の犬の痩せこけたうなじを打って………巷を埋めてゆくみぞれである」

 

P119

ここにうごめいているのは何者だろうか。それは権力に迎合してさわぎたてることのない民衆であろう。だがかれらは、むろん権力に盾つくようなこともない。権力にたいして白い目をむきながら、ただ家にひきこもって、つぶやくばかりである。

 作者はかれらにたいする批判者なのか。それだけではあるまい。民衆の沈黙にたいするいらだたしさを感じていながら、一方ではかれらへの共感も流れているのではないか。

  •  プロレタリア詩に遅れて運動に加わった倉橋顕吉は、検挙後に独自のリアリズムに基づいたものになる。現実の描写によって対象を浮かび上がらせることにポイントを置くようになる。
  • 1937年5月の日記。20歳であるが、こう考えていた。「余りにも屡々、我々は 物を見る場合に於て理論と言ふものに頼りすぎた。”もの”そのものをみる事から もう一度 我々は出発せねばならない。」
  • 1942年には満州に渡っている。『文化組織』に「レエルモントフ・ノオト」発表。ロシアの詩人への憧れは高まったようだ。
  • 46年に帰国。療養生活に入るが、47年6月に死んでいる。
  • 最後に発表した詩は「宮城前広場」という食糧獲得メーデーを描いた公式的な詩だった。敗戦の世相に、政治主義に還ったものと思われる。ただ画一的なプロレタリア詩のプロパガンダを超える可能性は秘めていたのだ。

 

 【ネットで読める倉橋顕吉の詩です】

「将軍」「詩人に(自戒)」「萌黄色ノ戒衣ニラユセテ」「異境」「爪」       

「M伸銅附近の野にて」「アッコオデオンに就いて」「こおろぎの歌」「真っ白いエプロンをつけて農場に急ぐコルホーズ婦人たち」「駅にて」

 

「駅にて(部分)」

 

「詩人に〈自戒〉」「第三帝国街夜話(部分)」

 

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   「こうろぎの歌」

遠くから
ひえびえとした闇の底から
私たちは呼びかわす
仲間たちよ
君らの湿っぽい穴から出て来い
母のくち果てた屍の床
君のゆりかごの中から
若い歌をもって出て来い
君は
底深い闇をみるだろう
更に またたく星の
物言わぬいとなみ
静けさの中にあるコーラス
それらのものに
きみは翅ふるわせるだろう
命なきうたは
星のまたたきの下に消え失せろ!
雲と風の
道ゆきの下に
仲間たちよ
君らは
烈しい流転の歌い手となるだろう
新しい生命のために
きみの限られた日々を歌い尽くせ!
遠くから
ずっと遠くからの様に
私たちは呼び交す
出て来い 仲間たち
大きな石ころの下から
壮麗な
空の挨拶をうけるために
今こそ
やって来い 仲間たち

 

(これ以下は自分の勝手な感想と詩の分析です。自分が詩を書くときのために、すでに高い評価を受けている詩を、勉強するためのメモなのです。素人が偉そうにしているようにみえるかもしれませんが、トンチンカンで間違っていても赦していただくようお願いします。)

【モチーフ】

  • こうろぎたち

【テーマ】

  • 仲間たちへの呼びかけ

【構成】

 【起】………呼びかわす 穴から出てこい

 【承】………母のゆりかご 闇 星

 【転】………流転の歌い手になる 生命のために

 【結】………出てこい石の下から (再び、呼びかける)

【スタイル】

  • 呼びかける形式
  • 観念中心

 

【表現・技法

  • 作者が比喩にしたこおろぎのイメージが活き活きとしている
  • 感覚的(湿っぽい穴 屍 翅をふるわせる 石 空の挨拶)
  • 呼びかけ、歌っているのが心地よいリズム
  • 大きな自然を歌っているが、観念的なイメージでもある
  • 余韻がある………
  • 若さがある ホイットマン的民主主義
  • 繊細な描写はないが、まとまった、訴えるイメージがある

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 では、また、明日。

 ありがとうございました。