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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

「抵抗と表現」を読む 2

 おはようございます。

 今回は、秋山清────詩集『白い花』の詩的抵抗」の章を読みます。

  • 東京田無の日特金属工業に、兵器の生産をやめろという抗議行動をして逮捕された「ベトナム反戦直接行動委員会」の青年を支援する資金作りのため、急遽まとめられた。内容は1935~45年に作った詩の31篇。

 

   「送行」

………

………

暮れなずむ印旛沼

しろく冬ぞらをうつし

兵舎町の駅のホームに立って

君は手をあげた。

君をおいてわれわれは走り去った。

松山や

麦畑や

なだらかな丘の勾配や

雑木林や

冬枯れ乾いた風景を送って

電車は灯のない東京の街にかえった。

         (二連)

  この詩の解説にこうある。P30

………男の欠けた家庭にも大変動はおこりはしない。いままでとさして変わらぬつましい暮らしがつづいていくのだろう。秋山は戦時下の民衆の生活にぴったりとついて、その目の高さでこの詩を作ったといえる。反戦的なことばがないだけではない、ここには、詩によく見られる主観的なことばもまったくない。ただ対象をしっかり見つめ、描きだしていくのだが、これが「現実をして語らせる」という方法なのであって、一見やさしそうに見えて、じつは技術を必要とする。

 

 そして同じく「雪」という詩が全文、載っています。走る汽車の窓から見える風景が描写されていくのですが………

………

二重張の硝子戸に額をおしつけてみると

空いっぱいに雪も海も暮れてゆく。

全速力の汽車も

はしりながらいっしょに暗くなってゆく。

抵抗できぬこの大きな速度のなかに

私はただ叫びごえをあげたくなった。

       (部分)

 ここでは風景描写がされると同時に、作者の不安な気持、圧倒されるものの容赦無いスピードに恐怖に駆られている自己も客観視されています。

 

 

  • 秋山はがクロースアップされたのは、吉本隆明が「前世代の詩人たち」(1955)の評論の中で、多くの民主主義文学の詩人たちの以前の戦争協力を暴き、激しくその変節を批判したからです。そして、それと反対に、秋山の戦時下に書かれたこれらの詩を評価したからです。
  • 秋山が「現実をして語らせる」という方法に行き着いたのは、詩誌「詩行動」(1935年に7冊出て潰れてしまった)によるところが大きい。
  • それまでのプロレタリア詩の政治至上主義への反省から、新しい詩論を模索した。「詩精神」や「詩人」という同人誌も、人民のいきいきとした詩を作ることを目指した。
  • 同人は、小野十三郎、丹沢明など。小野十三郎は詩集「風景詩抄」(1943)を書く。

P44

プロレタリア詩で目立った、あの主観を叫びたてるやり方では、作者だけの満足におわってしまうということがあり、対象を的確に描写し、構成していく方が、まさに詩の力で優位にあるという考え方から、この方法はきている。そして秋山が、これをもっとも有効に活用したということである。

 

歌はくずれやすい。たとえば壷井繁治は三五年には、共産主義賛美を歌いあげていたが、やがてその同じ調子のままにファシズムの詩人となり、さらに戦後は民主主義詩人というわけだ。主体と方法をもたずに、ただよい流れていく詩人の悲しさというものだろう。

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   「白い花」

アッツの酷寒は
私らの想像のむこうにある。
アッツの悪天候は
私らの想像のさらにむこうにある。
ツンドラ
みじかい春がきて
草が萌え
ヒメエゾコザクラの花がさき

………

     (部分)

 

ここに「白い花」の全詩行が載っています。(サイトの方、感謝します。)

 

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(これ以下は自分の勝手な感想と詩の分析です。すでに高い評価を受けている詩を、自分が詩を書くときのための、勉強するためのメモなのです。素人が偉そうにしているようにみえるかもしれませんが、トンチンカンで間違っていても赦していただくようお願いします。)

【モチーフ】

  • ヒメエゾコザクラの花を見たことがきっかけとなったのだろう。それに見入る兵士を想像した。

【テーマ】

  • 静かな声に出さない反戦の思い

【構成】

 【起】………アッツ島の寒さや天候を想像することから始まっている。

 【承】………そこに咲いている花。見入る兵士。

 【転】………戦い………死んだ

 【結】………知ったのは区民葬で

【スタイル】

  • ライトヴァース的な表現で
  • 寓話的な

 

【表現・技法

  • 書き出しがすでに想像で始まり、モノローグでたんたんと進む。自然な流れ。余計なものがない。
  • 花と兵士がクローズアップされる描写。その五弁の白に見入って /妻と子や/
    故郷の思いを /
  • 想像の中のイメージだが、構成で、そこだけが描写で浮かび上がるようにしている。
  • 自分と名も知らない兵士が対峙されている。見過ごされるようなことが、取り上げられたことで詩になった。

 

 

 秋山清「白い花」の検索結果です。

 

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  秋山清の詩は、単純で素朴に見えるので、そのまま見過ごしてしまいそうです。しかし、現実と対照すると深いものがある気がします。

 

 明日も、この本を読みます。