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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

石原吉郎の詩への聖書の影響 2

 おはようございます。

 ぼくは「ロマ書」を読んだことはないわけですが、石原吉郎がバルトから影響を受けたということは、以前に読んだ本などで知っていました。

 詩人でキリスト教徒は多いのです。

 まど・みちおさんもそうですし、アンパンマンやなせたかしさんも………ぼくが持っている詩集では八木重吉も。もっと多くおられるでしょう。

 詩は人間性が出ます。

 いや、そういう人間に対する深い理解をしようとする思想を持つからこそ、宗教的になるのでしょう。それが詩として表現する基盤になっている………

 普遍的なものを表現しようとするとき、人は宗教的になるのかも知れません。卵が先か鶏が先か、わかりませんが。

 それにその詩を理解しようとすれば、その表現の依って立つ処である思想性や宗教性に行き着かなければならないでしょう。

 

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 P88に、『詩学』1961年1月号に「ゲッセマネの夜」として発表されたが、第一詩集『サンチョ・パンサの帰郷』に「Gethsemane」改題して収録された詩があります。

にんげんの耳の高さに

その耳を据え

肩の高さにその肩を据えた

鉄と無花果がしたたる空間で

林立する空壷の口もとまでが

彼をかぎっている夜の深さだ

         (略)

  描かれているのはもちろんイエスの苦しみですが、この緊張感はどうでしょう。41行の長い詩行ですが、いっさいの緩みがありません。

 この詩について著者の、「文体分析・構成分析」、「(ゲッセマネ)とは何か 」がP90~P94まで………

安西均の解釈」がP95~P100まで………

「森田進の解釈」がP100~P101に書かれています。

 

 聖書の出来事を、モチーフにし、テーマとしたこの詩は、P95に「………聖書への深い理解と共感なくしては、批評しにくかったのか、評者の俎上にはほとんど載ってこなかった」と書かれていますが………、そうだと思います。あまりに特殊で、独特な題材だと、読者がどこまで理解していいか、わからなくなるからです。

 

「文体分析・構成分析」を引用させていただきます。

一行一行は短く、その上に行開けは一切なされず、そのことによって「最後の時刻」へと息せき切ったように足早に駆け抜けていく。「にんげんの耳の高さに/その耳を据え」「肩の高さにその肩を据えた」に始まるリフレイン(繰り返し)の手法は、その後、「酒が盛られるにせよ」「血が盛られるにせよ」や「笞を懸け」「祈りを懸け」「みずからを懸け」「最後の時刻を懸け」と変容して、緊迫感を高めている。

 この詩の鍵語は、「夜」である。雑誌掲載の初出の際には、「ゲッセマネの夜」となっていて、詩中にも「夜の深さ」「夜明けまで」「夜はおもおもしく」「その夜」「いかなる夜も」「この夜」と執拗なまでに、「夜」という言葉が多用されている。

  たぶん詩の批評としては、これで充分で適確なのです。

 それでもゲッセマネの夜と最後の晩餐をモチーフにしているこの詩は、聖書への知識と理解を要求するのです。

 それで著者は、読者のために「ゲッセマネ」とは何かを説明、知らしめなくてはならなくなった。詩に多くの聖書の言葉が使われているからです。たとえば「四隅」という言葉、これは旧約聖書エゼキエル書に「終わりが来る。地の四隅に終わりが来る。」(7章2節)とある。また最後の晩餐自体が暗示、隠喩に溢れている………

 

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 聖書というものが、詩のモチーフとなる出来事に充ちている。

 そして、聖書の言葉が………その言い回し、語り方の手法、反語や断定、喩え話や奇跡………などで、修辞の宝庫であると気づかされます。

 石原吉郎の詩法も修辞も、聖書を自分の血肉にしているほど読みこんで、その影響のもとに成り立っている、といえるのでしょうか。

(何年か前に荷物を整理するために、持っていた聖書を捨ててしまった。残念なことをしたと今回、思いました。でも、石原吉郎が読んでいたのは文語調訳の聖書です)

 

 この本を要約するだけでも、ひとつの論考になるでしょう。聖書についての知識も広がります。ぜひ、読んで下さい。

 

 明日もこの本を続いて読みます。