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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

金子光晴「作詩法入門」の、作詩十個条

 おはようございます。日曜日の朝です。すこし焼酎を飲み過ぎて、足が痛くなってきた………まあ、いい。

 金子光晴さんの、 

作詩法入門 (1968年)

作詩法入門 (1968年)

 

 を読んだんだけれど………目次を書きますね。

詩とはなにか(上)

詩とはなにか(下)

詩人とはどんな人間か

作詩にあたっての十個条

美と政治と詩人

詩と自然

詩と人間

愛誦詩歌

  ブログで取り上げたいところは「作詩にあたっての十個条」だけです。

  • 「詩とはなにか 上下」は────詩に造詣が深い主人と、訪ねてきた客が、詩とは………について話す趣向になっていて、いかにも入門書らしく知識・学問的定義を云々する話しだし、
  • 「詩人はどんな人間か」は────戦前から戦後にかけて、詩人が何を求めて詩を書いてきたのか、の話だし、
  • 「美と政治と詩人」は────詩人AとBが、主人の前で、「詩は美を目指すもの」というAと、それに反対するBが、叙情の変遷と、政治参加(アンガジュ)への意識を持つかどうかの話しだし、
  • 「詩と自然」は、自然が詩においてどう描かれているか、詩を引用して………の話ですし、
  • 「詩と人間」では、恋愛詩をあげている。

 総じて、概括的、包括的に、詩について語っている………と思ったんです。1968年じゃ、まして73歳になっている、金子光晴が詩の入門書を書いているのですから、概念的な入門書になってもしかたない………でしょう。戦後詩を語るような視点が入ってこない。

 

 それで、詩を書くときに必要な注意とでもいえるアドバイスである「詩作十個条」です。

第1条「気熟するまでは、腰をあげないこと。蒸れのたりないアイディアは、おもいつきに終わる危険がある」

はじめに、こういうことを詩に表現しようということが、花火のようにパッと閃めくとします。しかし、………不備に終わります。アイディアだけで、とりいそいで作った作品には、ことばが出そろいませんから、舌たらずになり、あとでよんで不満が出てくるものです。ことを早急にせず、まずその対象をつきとめ、それが、ちょっとしたおもいつきで、根のないものではないか、または、それが、じぶんには元来そぐわないものではないか、じぶんがもっていない世界であるために、かりそめに心をひかれるのではないかを検討します。もし、それがじぶんにふさわしい発案だとおもったときは、さらに、どこまで熟しているか、その世界のなかで、どのていど、じぶんが生活しているかとながめてみます。それがふじゅうぶんであれば、根本がしっかりせず、ことばも作品をささえる力をもっていないことになります。

  • 非常に短い詩の場合は、この操作もかなり短縮できる。
  • 長い詩になるほど、燻熟には手間をかけねばならない。表現のテクニック、舞台装置、段取りの劇的構成に気をつける。
  • 作品の内容を、十分に自分のものとし、そのなかの世界で生活することがなによりも肝心なことで、十分にその世界を自分のものとすれば不用意に出てくる言葉も、作品の手足となって働いてくれる。

第2条「はじめに心でできあがったものを、そっくり表現にうつす場合と、書きながら新しい発見をして、行から行へと冒険をしてゆく場合とのちがった心組みのこと」

  •  予め計算していたものをそっくり壊さないように詩にした場合、出来上がったものが、考えていたものと違って意に満たないことが多い。
  • また、美しい風景、感動的なシーンに目の当たりに出会って、それがそのまま、よい詩になるとだまされて作品にする場合も、惨憺たる結果になる。
  • その感動をほんとうに表現するのに必要な、いろんな操作をおろそかにすることが失敗の原因。
  • あるヒントを得て、もやもやした雰囲気の中から、まず第一行の言葉が浮かび上がり、その一行から連想して二行目が生まれるといった書き方の場合、最初の張り詰めた緊張が持続されなければならない。

 

第3条「表現はじぶんのものであって、同時に他人のものであることを忘れないこと」

  •  他人の理解にぴったりと収まることが肝心。そのために起承転結の構成などがある。
  • 先人の作品を読むとき、共感した箇所を擦過しないで、その構成や、言葉の配置、たたみこむ繰り返しなどの配列などに注意して研究する。

 

第4条「かならずしも詩は、実景を模写するものではなく、じぶんのなかでべつの現実につくりあげることで、いっそう、いきいきと実景のこころまであらわすことができるものであることについて」

  •  ものを活き活きと表現するには、順序が大切。何と何が特徴を表す上に重要かということを直感して、余計なものは切り捨てる。実景は、詩人の個性を通してアレンジされてこそ、生き生きとする。
  • 象徴主義
  • 自分の感性で、効果的な材料を選び、配列し、別の世界を創る。

 

第5条「日常の垢のついたことばを、その垢をけずり落として使わねばならないこと」

  •  言葉は、日常、使い古され、余計な連想がついている。詩では、どれだけ純粋に言いたいことが言えているかに心を使わねばならない。
  • 無縁の言葉を持って来て、鮮明にイメージが浮き上がってくることもある。

 

 

第6条「日本語で詩を書くなら、日本語の変化に通暁しておかねばならないこと」

  •  日本では文語で和歌や詩を書いてきた。が、口語の美しさも研究され、探求される。

 

 

第7条「字づらの効果よりも、心に受けわたす中身のほうに重点を置かねばならないこと」

  • 言葉で奇をてらったもの。アイディアのおもしろさで表現されたものは、飽きられる。
  • 作者の、心の広がり、宇宙的なものを感じられるものが………

 

 

第8条「現在の詩の水準を知ること、たとえ、時代を超越したようにみえる作品でも、その時代とのつながりがなくては、価値の標準のおきようのないことを心得るべきこと」

  •  先輩の詩人の作品の中から、後輩の詩人は、たくさんの滋養を吸い取って成長する。
  • 人々が何を求めているかを直感し、先駆ける作品を作らねばならない。

 

 

第9条「作家は、書くことによって、旧套から脱し、新境地をひらくことができるので、けっして、手をこまねいていたのでは、成長できないこと」

  • 作品を作る人は、他人の作品を読むだけではすこしも進歩しないどころか、批評眼ができるに従って、自分の書くものが馬鹿らしくなり、だんだん書くのが嫌になります。
  • 作家が成長するには、書くより他にないのです。ただ、むやみに書きまくるだけではなく、書いた後で、1ヶ月でも、2ヶ月でも経ったあとで読み返して、欠点を探し、その短所のよってきたる原因を見とどけ、自分なりの克服の道を発見してゆくというのがいちばん効果的。
  • 他人の批判は、虚心に聞くことが大切。

 

第10条「スランプのとき、自棄的になることなく、じょうずにそれを手なずけて、つぎのジャンプに備えて足場とすること」

  • 自分の心境なり、作品の傾向なりがゆきづまって、そのまま書き続けてもてんとなく無意味に覚え、変化しようにも、手がつけられない、後ろにも前にも動けなくなるという状態。
  • 無理なあがきを控え、静かに対策を考えれば、かならず緒が見つかるものです。

 

…………………………………………………………………………………………………………………………………

 金子光晴の実践にあふれた、詩を書きたい人へのアドバイスです。

 親切で、丁寧です。

 その言葉が、詩の世界を作れるほんとうの詩人だと思います。

 

 

 明日から、村野四郎を読みます。

 では。