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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

「叙情の科学」(杉山平一の映画的技法)まとめ

 

評論集 抒情の岸辺―詩を愛する人たちへ

評論集 抒情の岸辺―詩を愛する人たちへ

 

 に、杉山平一さんの詩における、映画技法と詩作との関係が、「3 杉山平一の叙情の特質───人間愛に支えられた『叙情の科学』」として書かれてありましたので、まとめたいと思います。

 

【杉山平一の映画芸術に関する基礎理論】

  • 「動き」が重要。(1.根源性・原始性は比喩、メタファーの形 2.動き・変化があるから生きている瞬間が成立 3.時間の流れ・時間の調子)
  • 「枠」が重要。
  • 「映画言語」
  • 「文体」
  • 物象をして語らしめる
  • 観念をあらわにする「わからなさ」は避ける。

 

 これらの映画の基礎理論に関する杉山の指摘は、いずれも詩の本質を掘り下げるとともに、詩作、さらには詩の朗読にヒントを与えるものであると、私は考える。………

 ただ、一点あらためて強調しておきたいのは、映画の手法を詩作に活用するのは、単に技法上の問題と捉えるとそれは皮相なものであり、映画の手法そのものが人間の深層構造とかかわっているのであって詩の本質的なものと通ずるということである。

 

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 自分は杉山平一さんの詩集を持っていませんので、ネットで読めるサイトを紹介したいと思います。それぞれのサイトの主宰の方にお礼を申し上げます。詩は全文を引用しますが、著作権にふれるのでしょうか? 映画的技法の解析のためなのでよろしくお願いします。m(__)m

    「邂逅」

ひょいと出会った おおうれしい

われらは二百里離れて暮らしているのに

ここは大阪の停車場なのに

遠くの友よ

二時間前にはお前は京都河原町うバスで西にゆられており、僕は呼出しをうけて神戸の県庁への坂を北へ上っていたのに

五時間前には、お前は下り鴎号の窓から天竜川を見おろしており、僕は尼崎の工場で退職を申出た労務者と果しない口論をつづけていたのに

そして十時間前には お前は丸ビルの廊下を東へ廻っており、僕は工場の広場で自分の言葉の矛盾を気にしつつ青少年工に訓辞していたのに

ここにわれら雑踏をすりぬけて行き当った

こみ入った距離と時間と方向の組み合わされた この偉大なる時間表は何であるのかおおなつかしい遠くの友よ

導くものに導かれつつ

それでは友よ

再び運行をつづけよう

健康でそして坦々として

      詩集『夜学生』より)

  この詩についての解説です。

  • 縦のストーリーではなく、横の同時進行を意識した構成がとられている。異なる場面を交互に撮影して見せるクロス・カッティングという手法。
  • 「偉大な時間表」の中で運行する人びとを俯瞰する視線がある。「神」の眼。

 

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 このサイトでよもぎ摘みを読んで下さい。

  • カット・バックの使用でドラマの悲劇性を高めている。
  • 各連はそれぞれひとつのカット。
  • 三連は、母親の電車事故に進むカットの連続とは違う別の場面であり、ドラマを盛り上げる技法
  • 対立する矛盾がものごとを不安定にし、運動が始まり、物語が展開する。これは映画でいうモンタージュ論でもある。

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「水」

バケツのかたちの水を

かたむけ

パッと 放おると

菱形にゆがんで浮いたのも束の間

コンクリートに叩きつけられ

悲鳴をあげてペチャンコになり

助けを求めるように触手をのばし

すこし もがいていたが

ひっそり 息絶えた

    (詩集『青をめざして』より)

  • スローモーションによる映像美。
  • 擬人的表現で、人間を、水の比喩として描いていると読むことも可能。

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   「私の大阪地理」

  •  ロングショットとクローズアップ。
  • ヘリコプターから見おろしてすべっていくように始まるが、終盤人びとの暮らしをクローズアップして終わる。

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   「微笑」

     (探したのですが、ネットにはありませんでした)

「子供の死ぬ前の日は/珍しく大雪だった」といきなり最後の舞台設定から始まる。

「病院の窓から見える竹が/私たちにのこした/かずかずの笑いのなかの//それは最後の微笑だった」「雪を見て それから私の目を見て/おどけてみせて。」の微笑だという。

  • 鮮烈な映像として思い浮かぶ。

 

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 この章で書かれていることをまとめました。

 杉山さんは、映画の技法を詩に適用したのではなく、映画と詩のような芸術と呼ばれるものの、共通項を見出したのだと思うのです。

 

 

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 ネットで読める杉山平一さんの詩たち。

 

「私と詩  杉山平一」

   (このサイトは貴重。ぜひ、どうぞ)

 

  では、また、30日に。