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  66歳 日の記し /          ☆。(´・ω・`)/ 。゜★・ ☆彡

社会の底辺で生きて来て55歳で世間と断絶を決心してから独りです。寂しいのでブログを始めました。思うことなどを書きます……仏教を生きる指針にしているのでそれも。リンクを貼らせていただくサイトの方には感謝しています。m(_ _)m

映画的手法と詩───杉山平一

 

詩と生きるかたち

詩と生きるかたち

 

 を読んでいたんですが、2001年6月23日に「四季派学会」春季大会で講演されたものが、「詩と形象」というタイトルで載っているので、それをまとめたいと思います。

 ここで杉山平一さんは、詩と映画の関係について語っているのです。以前、読んだ「現代詩入門」で、映画のモンタージュの方法を詩作法に取り入れた、とありましたけれど、その内容を深められるかと思います。

 

 【枠と映画の魅力】

  • 映画「私の殺した男」の冒頭の構図───戦争が終わり、凱旋の軍隊がパリの街に帰ってくるシーン。片足を失くした傷病兵の松葉杖の間からカメラで撮っている。
  • 映画は「枠」といわれるが、詩でも枠や形で生きるのと同じ。
  • 津村信夫の「かってはミルキイ・ウェイと呼ばれし少女に」の詩における───「貴女は小さな扇をひらいた」のショットの鮮やかさ。(4/8のブログに説明があります)
  • ある日、街で兵隊を見かけて───上官が向こうから来て───パッと敬礼する、と同時に、祭りでもあるのか、ドドーンと花火が上がる。「あっ、これは3カットのモンタージュだ、詩になるんじゃないか。……また、お寺に行ったら……小坊主さんが観光客を案内していて「廊下は全部鶯張りー」と、そこに本堂から木魚がポクポクポクと聞こえてくるんです……分解して並べたら詩になるんじゃないかと思って、映画の雑誌にシネポエムとして出したんですね」
  • ちぎって繋いで、分割して結合していく面白さ……

【分解と組み立て】

  • 駅馬車の「走る」「撃つ」「転落」「馬の上」「馬の下」───カメラアングルの生み出すリズムとスピード。
  • 「知りすぎた男」───音楽に合わせて殺そうとするシーン。カットのサスペンス。

    「下降」

仲好しと、いま別れたらしい

……

……

四階で微笑んだ口がしまり

三階で頬がかたくなり

二階で目がつめたくなり

一階で、すべては消えた

エレベーターの扉があくと

……

         (部分)

 

     「訪問」

門のボタンを押すと

ベルが鳴ったらしい

玄関の電気がついて

どなたですか と声がした

……

……

        (部分)

 

【組立の衝突】

【反対表現】

  • アンタッチャブル」でアル・カポネがオペラのテノールの美しい場面で、感激して泣いている、そこへ子分が、警官を惨殺したと報告に来る、そうすると泣きながら、ニコッと笑う。その取り合わせ。
  • 「望郷」───警官に密告したスパイを捕まえて、攻めるところ。恐怖の場面。問い詰められて真っ青になって、後ずさりしてそして故障したピアノに当たります。倒れたとたん故障が直って自動ピアノから……明るいホットジャズが聞こえてくる。……ゾーッとさせる反対表現。
  • このつなぎ、映画のこの表現は……詩では「比喩」
  • 詩は比喩なんだなあと思う。

     「途上」

水を飲む馬のやうに

頭を垂れて

悲哀にくちづけてゐた

私は疲れ

あまりに乾いていた

 

【同時進行としての世界】

  • 平行のモンタージュ───映画は同時に別々の場所で起こっていることを、繫いでゆける。  

 亀戸の洋服屋の店先で蛍光灯がまたたく

多摩川の橋下でラジコンボートが沈没する

 

大久保の線路沿いに名も知れぬ野花が咲く

……

    谷川俊太郎の詩「東京抒情」(部分)

 

【反復の魅力】

  • 繰り返し。リフレインの喜びというものがある。
  • 中原中也は心に焼きつく。
  • 山村暮鳥「風景」……いちめんのなのはな

   「退屈」

十年前、バスを降りて

橋のたもとの坂をのぼり

教会の角を右に曲って

……

……

きょう、バスを降りて

橋のたもとの坂をのぼり

…………

……

 

【視覚の拡大伸張】

  • 映画でのスローモーション。望遠レンズ。
  • 日本の浮世絵───遠近法がない。が、金原省吾という美術史家はこういう。「日本の場合、東洋の場合は画家が動いているんだと。歩いて、山を描くときには山を登っていくのだと。見えるものだけしか描いてはいけないと、裏から描いてはいけないと誰が決めたんだ、と。画家もまた視点を動かしてゆく。
  • 逆回転の詩、「邂逅」

ひよいと出会った おゝうれしい

われらは二百里離れて暮らしてゐるのに

こゝは大阪の停車場なのに

遠くの友よ

二時間前にはお前は……

……

……

五時間前には……

……

 

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 後、【深層心理としての映画手法】【演劇と映画】【俳句的と短歌的】【目と耳】についてお話しておられますが、詩の例が出てこないので、ここで終わりにします。

 映画と詩との関わりは、非常におもしろいものでした。

 

 また、23日に。